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 歩こう会 日記  〜2006まで
※動植物の名前など、間違い・勘違い等があることがあります。お気付きの点がございま したらご連絡ください。
2008〜はこちら
2007〜はこちらです。
晩秋の相生山
12 月7日 くもり 参加者25名+幼児2名

12月に入り、さすがに外気が冷たい。
そんな中、なんと27名の参加。ここのところ常連さんが増えてきた。
初めての方は小さなお子さん連れのお母さん2組と女性の方1名。
月に一回ここでしかお会いしない方も多いのだが、
毎回顔を合わせるようになり、雰囲気がとてもいい。

オアシスの森相生口駐車場。
皆さんが集まった頃を見計らって何やらお店が始まった。
野鳥の羽のコレクションを使っての勉強会。
山や野原を歩いた時、落ちていた羽を丁寧に持ち帰ったものだという。
先回のアオバズクの羽もこの中に大切にしまわれていた。



お次は大きなダイオウショウのまつぼっくり。
中にはまだ種が入っていて、「天気のいい日にこうして飛ぶのです。」
とヒラヒラ舞う様子を見せてもらう。

最後は昨年も登場したどんぐりの実と葉っぱのセットが配られる。
マテバシイ、スダジイ、アラカシ、シラカシ、コナラ、アベマキ、クリ。
常緑か落葉かに加え、葉のギザギザ加減や葉裏の様子、新芽のつき方、で見分けられる。
どんぐりの見分け方は森の中でおいおいと。


竹林の入り口では紅葉した樹々たちが出迎える。
紅葉の成分は、茶色はタンニン、赤はアントシアン、黄色は・・・
なんだっけ、にんじんに含まれる・・・そうそう「カロチン」

竹林に入るとますます冷たい。
夏はこのひんやり感がとても気持ちいいのだけれど、冬は身が引き締まる感じ。

竹林を抜け、木道からヒメカンアオイとご対面。
落ち葉が敷き詰められた散策道に足を踏み入れると、
点在するタカノツメの紅葉に目を奪われる。
黄色だから「カロチン」だ。

うん?なんか地面でひらひらしている。あっちでもこっちでもひらひら。
小さな薄茶色のちょうちょがいっぱい飛んでいる。
こんな季節にちょうちょ?早速図鑑を調べてみる。
これかな?似ているけど、越冬は幼虫でと書いてあるから・・・・違うかぁ。
結局その時は分からなかった。

帰ってから、写真をたよりに調べてみた。
フユシャク(冬尺蛾・幼虫はシャクトリムシ)の仲間であることがわかった。
 敵が少ない冬に成虫になる。オスは「はね」を持つが、
メスは「はね」が退化し飛ばないので見つかりにくい。
冬は蜜を吸える花が少なく、また蜜は低温時に体内で凍る可能性もあるので、

餌 は食べないという。
そ のためメスもオスも成虫は口が退化している。
オスは、未知のメスと遭遇し遺伝子をカクハンするだけの為に「はね」を持ち冬空を彷徨い、
メスはフェロモンを出して雄が来るのをじっと待つのだ。

子孫を残すためにそれぞれが工夫を凝らした独自の方法を考えだしているように見える。
私たちは今日もまた相生山で「生」の素晴らしさを見せてもらった。



「あの巣って、ずっとありますよね。」の声に上を見上げる。
コナラの高いところに鳥の巣がある。ずいぶん葉が落ちて、高いところの様子もよくわかる。

高い高い空に向かって大きく深呼吸。ふぅ〜。やっぱり森の中は気持ちいい。

ヒノキ林までくると、大きな看板。「通行止めのお知らせ」
ご 理解とご協力をといわれても・・・・
初めての方もいらっしゃるので、ここで改めて道路工事の説明をす る。

気を取り直して梅林へあがる。
ひらけた地面では秋の草花から春の草花へバトンタッチしている。
ホトケノザ、コセンダングサ、カタバミ、ナズナ、ハコベ、オオイヌノフグリにスズメノカタビラ。
「これもハコベですか?」の声に「ハナイバナじゃないかな。」と応える声。
「雑草という草はない」との名言があるとおり、一つ一つ名前を呼ぶと、
一面の草むらが愛しいお花畑に見えてくる。

ホトケノザの受粉の仕方が興味深い。
ホトケノザの下側の花びらは、色も鮮やかに水平に突き出している。
ここにとまりなさいと、虫に自己主張しているようだ。
そのヘリポ−トに虫がとまり蜜を吸おうとすると、
上の花びらに隠れていたおしべが虫の背中に触れ、花粉が付くのだ。
おしべが花びらの傘の中に隠れているのは、水に弱い花粉の精細胞を守るためなのだそうだ。
めしべは同じ場所にあるが、その時はまだ成熟していないのだ。
そして花粉をつけた虫は他のホトケノザに飛んで行き蜜を吸う。
その花のめしべが成熟していたら、運んできた花粉をさっきと同じシステムでめしべにつける。
めでたく受粉が成功だ。花粉の精細胞はめしべの子房に向かい、そして受精する。

それだけでも思わず拍手したくなるほどのしかけだが、それだけではない。
ホトケノザには開くことのない真っ赤なつぼみがある。
その開くことのないつぼみの中では、なんと驚くことに自力で種が作られているのだ。
そして、その開かないつぼみは春よりも冬のほうが多く見られる。
「冬は虫が来ないからそうなったんじゃないかな。」







山根口から菅田口へ。
「さあ、ここからはどんぐりの見分け方を勉強しながら行きましょう!」
最初に見つけたのはコナラのどんぐり。帽子にうろこ模様があり比較的細長い。
次はアラカシのどんぐり。ぷっくりした体にわっかのついた帽子だ。
菅田口につく頃は大きな体にもじゃもじゃ頭のアベマキのどんぐり。

ここで素朴な疑問の声があがる。「どんぐりという木はあるのですか?」
さっきから、いろいろなどんぐりの説明はあるけれど、まてよ、どんぐりって何だ?と思ったらしい。
「どんぐりはこうした木の実の総称です。」
「ちょうちょでもちょうちょの中にはあげはもいるし、もんしろちょうもいるでしょう。
どんぐりもどんぐりの中にはコナラの実もあるし、アラカシの実もある。そういうことです。」
そうかそうか、聞いた人も納得していた。







足元に咲いた薄紫の花。「これは何だったっけ?キツネノ・・・」
「ゴマ!」「おしい!」「マゴ!」「正解!」「いつも間違えちゃうのよねぇ〜」

忘れたり、間違えたり、何度聞いても覚えられなかったり、
何度も聞いているのに初めて聞いたかのように「へぇ〜」と驚き、
そんなことを繰り返し、少しずつ本当に少しずつ覚えていく。

感謝すべきは「植物はいつでも同じ場所で待っていてくれる。」ということだ。

ヒイ、ヒイ、カチカチカチ。ジョウビタキだ。
ジョウはおじいさんという意味。オスは頭が白いから。
ビタキは火打ち石をうつという意味。カチカチカチとくちばしを鳴らすから。
火打ち石をうつおじいさんということか。
高くてよく通る「ヒイ、ヒイ」という声が里山によく似合う。

足下を見ると、きれいでツヤツヤの黒い実。イヌホオズキの仲間だ。
きれいな実につられてつい手を伸ばしたくなるが、
そうだ、この実は有毒だった。「食べるな、危険!」である。


山根口に戻るため、相生山一の急なのぼりに挑戦する。
小さな子どもたちがぐずりだす。大人たちも少し登っては休憩。
「無理しないでくださいねぇ〜。」皆で気遣いながら登りきる。

そんな私たちにシャシャンボの実のお駄賃。
小さな子どもももう一個と言わんばかりにお母さんの手にある
シャシャンボの実に自分から口を近づけおねだりする。
「こんなおいしいなんて知らなかった」という人もいれば、
影でこっそり吐き出している人もいるのだが。

近くに、似た実を見つける。ヒサカキの実だ。




少し開けた広場に到着。点在するイボタの木。地面はいい感じに苔むしている。
手入れされた庭園のようだ。フユノハナワラビを観察しながら、ベンチで休憩。
歩こう会でしか顔を合わせないメンバーがひと時の交流。

さあ、そろそろ行きましょうか。
アズキナシのオレンジの紅葉やソヨゴのかわいい赤い実を楽しみながら山根口に降りていく。
今日はちょっとゆっくりしすぎたかな?少し急いで相生口に戻る。




11時55分。今日も満足、楽しい歩こう会。
次回は春の七草を探して、七草粥を食べますよ。
あなたもご一緒にいかがですか?


「変りゆくオアシスの森の中で」
11月2日 晴れ 20名

7、8、9月と小雨続きで、ここのところお天気には恵まれなかったが、やっと爽やかな秋晴れの歩こう会である。
入り口で配られたシイの実をポリポリしながらなごやかに集合を待つ間、人気のシュロの葉のバッタをバッタ作りの名人から取り合う。足元の心配がないので、 久しぶりにオアシスの森へ入ることにする。
竹林を行くとジェージェーという鳴き声とともに、バタバタと羽音。カケスだという。鳩より少し小さく見えた。
図鑑でみると白黒のごま塩頭に茶、白、黒、に青が効果的に入った美しい翼を持つ。目の前でじっくり見てみたいものだ。

ツルグミが支えを求めて、しなやかなつるを空に向かって伸ばしている。周囲に頼りになりそうな立ち木は見当たらない。これ以上伸びるといったいどう始末を つけるのだろうか。
沢沿いを稲田方面に向かう。10センチ程の高さのヤブコウジが可愛い赤い実をつけている。センリョウ(千両)、マンリョウ(万両)に似た実をつけることか ら別名十両。マンリョウは同じヤブコウジ科でセンリョウの方はセンリョウ科。
ちなみに百両というのもあるそうで、これはヤブコウジ科。
足元に白と茶の縞の美しい羽が、落ちているのを見つける。あまり見かけない羽だ。
夏の間、南から日本の森に来て恋をして卵を産んで子育てをした親鳥が、冬がくる前の9月〜10月に南に帰る時、
痛んだり汚れたりした古い羽は順に落ちて新しい羽に生まれ変わる。これを換羽といって私達が見つけたのはその抜け落ちた羽であると思われる。
羽の持ち主はアオバズク。南に帰る途中にこの森に立ち寄ったのか、それともこの森にいたのか?この森にフクロウはいないという人もいたが、鳴き声を聞いた という話もあり、どうだろうか?と思っていた。もしこの森にいてくれたなら、嬉しい。図鑑で見ると茶色のずきんを被ったような頭に金色のまん丸い目。
青葉が茂る頃に渡ってくるのでこの名があるという。こんな鳥が夜のオアシスの森を飛び回っているかもしれないなんて
ワクワクしてしまう。




ホタル鑑賞の最高のスポットで稲田口の手前の私達がステージと名付けた場所に着く。
北の斜面に緑のフェンスが森に切り込むように、まるで怪物が乱入してきたかのごとく見なれた森を一変させていた。
分かっていたのに、頭では確かにここに道路が通されることは知っていたのに、実際に目の当たりにすると
衝撃である。それは想像していたより遥かに無惨な光景であった。まだ破壊は始まったばかりだというのに。
我々を慰めるかのように目前を突然ヤマガラの集団が目まぐるしく飛び交う。8〜10羽がチッ!チッ!チィ!チィ!大騒ぎである。警戒心が少ないのか結構真 近まで来る。住処を脅かす人間達に抗議していたのだろうか。
11月の終わりには通行禁止になるという北の斜面を通り納めだからと哀しい理由で登る。




夏にハーモニカで和んだ傾斜のある広場で、気を取り直して氷河期の話を聞く。
「何故春になると芽がでてくるのでしょう?」あまりにあたりまえのことなのに答えられない難問から学習会は始まった。

プロローグ  はるかずっと遠くの地球の昔、ウルム氷期よ りはるか昔に、一年中凍りつく大地が解け始め、夏の間だけ大地が顔を出した。暖かい夏に生きる力を貯えて、なにもかも凍りつく冬を克服した生物のみが北の 新地に進出した……
「約170万年前から4つの氷河期と間氷期が繰り返し、日 本列島に寒帯と暖帯の植物相の交代をもたらし、4番目の氷河期ウルム氷期は1万年前まで続き、数万年後に5番目の氷河期が来るとすると、今は4番目の間氷 期となります。
その結果、木は地域ごとに気候にあった種が勢力を広げました。
熱帯では暑さに強いツバキ、カシ、シイ等の常緑樹 温帯では落葉して越冬、春に新芽をだすブナ、カエデ、クリ
寒帯では土壌がやせていても対応でき、乾燥や寒さにも強いマツ、ツガ、シラビソといったように。
またあるものは、草となり、茎が地上に張り付いて越冬し、早春に他に先駆けて茎を伸ばしたり、更に地上が枯れても、種.地下茎.球根などを残して耐え、厳 しい条件でも進出した訳です。又、高山では木が生えない森林限界の更に高地にお花畑を作り出しました。
鳥も同様に、夏の間だけ北に来て繁殖し、冬の間、南へ帰る渡り鳥が、又は極寒に耐え留まった鳥達が、北地の果実や昆虫を占有できたのだと思います。」

 気の遠くなるような時間の中で、より過酷な選択を強いられて生き残ってきた生物達の生命力。これら、自然の叡智の恩恵を受け、生活の基盤としてきた私達 人類の役目とはなんだろうか。と、つい氷河期から現代にいたる壮大なスケールの話に引き込まれてしまったひとときであった。



えっ〜とここは?そうだ相生山のオアシスの森の中。腰を降ろして聞いていた人はお尻についた枯れ葉をパンパンと払い落としながら立ち上がり、あるいは、木 に登っていた人はするする降りてきて、展望台へ向かう。   
シャシャンボの実が黒く熟して食べごろだ。甘くておいしい実を口に含むと、たいした苦労もせず
自然の恵みを受けることが申し訳ないような気がする。「そう、パクパク食べないで鳥に残そうよ」

トンボ池に向かう。ノコンギクやイヌタデが秋の里山を彩っている。どちらも日本の秋の草花といったやさしいイメージがある。ノコンギクをはじめキクの花は 複数の小さな花の集合体で、花びらに見える薄紫のところは一つの花でその下が細い筒になっている。真ん中の黄色の部分は花びらが筒状で中にめしべとおしべ を持つ。この二種の異なる形の花が同居していると言う訳である。一つ一つの花には、おしべが5個あり、おしべの先にはそれぞれ花粉が入った「ヤク」があ る。その「ヤク」がくっついて1本の筒となっている。「ヤク」は熟すと筒の内側に裂け。花粉は筒内にたまる。筒の下にあった、めしべは、やがて筒上方に伸 びていき、たまった花粉を押し上げ、ついにたまっていた花粉を外に押し出すというからくりだ。花に来た昆虫は腹にこの花粉を付けて他のキクに行き受粉す る。その後花粉を押し出した、めしべは自家受粉を避けるように更に伸びて、成熟し、やっと先を広げて受粉の準備が整い昆虫が他から花粉を運んで来るのを待 つのだという。この優れた受粉のしくみにより、キクは最も進化した植物の一つといわれているそうだ。
そんな凄い営みが、こともなげに美しい花の中で繰り広げられているとは今さらながら自然の素晴らしさに驚く。




イヌタデはアカマンマとも呼ばれ、昔の子どものままごとによく使われたと言われるが、そもそもままごとなるものが
そのような素朴な形であったのはいつ頃までなのだろう40年、いや50年位前か?それにしてもアカマンマの花は、枯れた
姿を見たことが無い気がする。いつも紅いままなのだ。気のせいかと思っていたら、ちゃん理由があった。花弁のように
見えるのは顎で、顎がそもそも紅いのだ。だからつぼみの時も花が咲き終わった後も紅く見える。節の部分にある長い毛で、よく似たオオイヌタデと区別がつ く。

ヤブランの実が透き通るような緑色の実をつけている。トンボ池のほとりでノコンギクの話を聞いている皆の輪の中に大小のイナゴが、重なったまま動かない。 ワイワイと取り囲んでも動かない。デート中だったようだ。とんだ不粋なことをしてしまった。先月緑色だった穂を黄金色に輝かせて、フユノハナワラビは穂が 重そうだ。
先月黄色い小さな花をつけていたアメリカセンダングサが、花の部分は「チョキッ!」の形のそれは痛そうな種に変わっていた。地味でおとなしげな花だったの にやけに戦闘的なチョキ型でひとまわり大きくなり、こげ茶の色もいかにも強そうにみえる。
畑のふちに誰かが植えたと思われるフジバカマが品のいい淡い赤紫の花をつけていた。草むらにナス科のイヌホウズキの白い可憐な花をみつける。可愛いけど毒 があるそうだ。
畑の脇の道端にエビスグサが黄色い花をつけていた。長いさやの中にできる種がハブ茶に使われるハブの実。







竹林を通って山根口に出ると清々しい青い小さなアサガオの花が一輪ひっそりと咲いている。マメアサガオより大きい。
カラスウリの鮮やかなオレンジの実が薮の中で輝いていた。




今年は先月の初旬から中旬にかけて3頭だけしか見られなかったアサギマダラになんとか会えないかと期待していたが、ついに1頭も姿をみせなかったのが残 念。去年は特別多かったのだろうか?10頭は見たと記憶している。
出口近くの数本のチャノキ(茶の木)にツバキの花を小さくしたような白い趣のある花が咲いていた。
お茶農園では、咲かせない方が良いとされている花だが、花の少ない森の中では散策の人々の目を楽しませている。
愛らしい茶の花に見送られて森を出る。



いつまでも変わらない森であって欲しい。そんなに難しいことなのだろうか。そんなに贅沢な願いなのだろうか
そんな思いで秋の森を後にした。

「小 雨の野外授業と徳林寺」
10月5日 雨のち曇り 21名

前回9月の歩こう会と同じく空模様怪しく、天気予報は雨。
前回と違うのは、それでも相生口には参加者の方々が集まってくれるだろうという確信があること。
雨が降った時は徳林寺を借りようと話がまとまり相生口に。
やはり少々の雨なんて気にしない風であちこちで談笑している常連さんの顔に混じってやや不安気な新しい顔も4、5名。
「今日は降りそうですね」「どこかの国では、雨が降ると汚れてもいい服を着せて子どもたちを泥んこ遊びさせるそうでそれもいいじゃないですかね」いやいや 皆さん泥んこ遊びするにはちょっと、とうが立ち過ぎで……
あいさつも始まらないうちにパラパラと降ってきた。パラパラからシトシトになりはじめたため、やはり徳林寺で雨宿りしつつ皆の知識など持ち寄って学習会で もしましょうということになり徳林寺目指して歩き出す。

歩き出して5分もたたないで、雨足が弱くなってきた。とたんに「あークサギの実がなってる」「この黄色い菊みたいな花は?」急いでいた皆の足が止まりだ す。気が付くと葉の裏を返したり、ルーペを取出したりといつもの歩こう会だ。

8月から楽しませてくれた白いクサギの花は残ってはいるが、勢いは無くなり、代わって濃紺の艶やかな実が赤紫のガクに縁取られて輝いている。前回クサギの 花の雄しべと雌しべの位置逆転の話は、興味深い投稿があって(9月の歩こう会日記参照)盛り上がったのだが、HPを見られない人もいるのでと投稿者のTさ んが実際のクサギで詳しく解説してくださった。
クサギが雄しべ、雌しべの位置交代をするわけは自家受粉を避けるための工夫ということで、他の遺伝子と結びつくことで、環境の変化により柔軟に対応してい ける可能性を高めるための知恵なのだという。こんな分かりやすくおもしろい授業が受けられたら、生物好きな子どもたちが増えること間違い無しだ。
かくなるは皆で物識り爺さん、婆さんとなって、孫たちに伝える道をとろうではないか。
聞けばTさんはクサギの花粉運び係をつきとめる為気長にかたわらで待っていたという。



このころには皆、すっかり雨のことは忘れて、いつものペースに完全に戻っていた。
雨に濡れて、木立の下にツユクサが存在を主張していた。たしか梅雨の前から咲いていたから花期が長い草だ。
よく見るとおもしろい形をしている。花弁は3枚で上2枚は青くて大きく目立つが、下方の1枚は小さくて白色で目立たない。
青い花弁にぱっちり映える小さな花のような黄色い雄しべ3本、そこより少し下がってやはり黄色の
先が「人」字形をしている雄しべが1本、もう少し下がって長く突き出て雌しべと同じ長さの先が茶色で楕円形の雄しべが2本(雄しべは計6本)。目立つ黄色 の雄しべは見せ掛けの飾り雄しべで、虫がこれに引き寄せられると下の長く地味な雄しべの花粉が虫の体にべったりつくというしくみ。
そして、こんなにすごい工夫をしているのに、午後にはしぼんでしまうツユクサは運悪く虫の訪問が無かった時のため、驚く事に、開花時に多くの花は自分の花 粉で既に受粉が終わっているそうだ。まさに念には念を入れた受粉のしくみなのである。
自家受粉を避ける工夫をするクサギ、かたやチャンスを得られなかった場合は自家受粉の仕掛けを持つツユクサ。それぞれが子孫を残すための正反対の工夫をこ らす。
葉書塔の前のエビヅルはまだ実がついていない。ブドウ科のエビヅルの実は充分熟せば、果実酒もできるという。
黒く熟したら食べごろだ。その横に夏を過ぎて大きな株になったナキリスゲが黄緑色の穂をつけている。菜を切ることができる位、葉がざらついているからこの 名がつく。穂の重みで、程よく垂れ下がったシャープな曲線を描く姿が美しく、野草をいける時のあしらいに重宝している。
野の花に合わせると、主役にはならないが、素敵な引き立て役になってくれる。カヤツリグサの仲間。

隣にごつい黒紫色の穂をつけたチカラシバも今が盛りである。
試験管を洗うのに使うブラシのような穂を持つこの草は、引き抜くのが困難ということで、この名がついたという。引き抜くのは困難だが、穂の部分だけしごい て、「ほれ、ネズミ!」なんて遊んだ記憶はある。イネ科

葉書塔の後ろのコナラの木にパンケーキのような、きのこが3枚互い違いに張り付いている。大きいので直径が15センチ程もある。
そのまま緑地の東の端となる崖の上をたどって歩く。晴れた日は御岳山も見える見晴しの良い場所である。




崖の際にススキが金色の穂をそよがせている。「ああ もうすぐお月見だね。」「いっぱいやりたいね」
萩の花は雨に打たれて半分は落ちてしまったが、十五夜までは、なんとか持ちそうだ。

木々をかき分けて、一人ずつしか通れない道を薮漕ぎしながら進む。アレチヌスビトハギが、こっそり皆の衣服に模様を書き込む。
急に明るい開けた所に出る。松、クヌギ、コナラが周囲を囲む赤土の地肌に草もあまり生えていない。木々も背が低いものばかりで、その下をコシダの群生が覆 う。コシダは赤土の崖を上りどこまでも続いているかのように見える。焦げ茶の細く硬い葉柄は大きく2股に別れてから更に分割して合計6枚の葉に分かれる。 これで1枚の葉という単位だという。この葉は枯れて地面に落ちた後もなかなか腐らないで乾燥して山火事の原因になることもあるらしい。
正月には、ウラジロのかわりに使うこともある。ウラジロより葉がしっかりしていて特に小さなお餅の下には、くるくる巻いてしまうウラジロより、コシダの方 が具合がいい。縁起ものだからとウラジロにこだわる人も多いが。
松の足元をウラジロがこんもりと覆っている様は、きれいに手入れされた日本庭園のようだ。いや庭園が自然を模していると考えるべきか。



さて、ここから先は、良い子は遊ばない的立て札が立ちそうな崖になる。
昔の良い子の皆さんは今やすっかり経験豊富なので、タブーに挑戦。
体力の衰えは判断力でカバーしていただくことにして、かばい合いささえあって危険なポイントを楽しく滑り降りることができた。

このあたりから、徳林寺の境内である。舗装していない、急な山道を上がると左手に納骨堂、右前方に池がある。
大きなクスの木の向こうに本堂がある。曹洞宗 徳林寺。少し変わったお寺である。
ベトナム、中国、インドネシア、ネパール、インド、モンゴル、韓国、バングラディッシュ、タイ、西チベット、アメリカ、イギリス、ビルマ(ミャンマー)と いろんな国からの留学生や来客がある。中でもネパールとはとても深い関係があるという。
境内を散策中に実に魅惑的な異国の香辛料の香りが調理場から漂って来ることもある。本場の香辛料を使用して、こくやうまみを出したカレーやダル等が、祭り の時などに販売される。運良く巡り会えたら是非試してみることをおすすめする。

4月の花祭り、11月の豆曼陀羅(秋祭り)等、誰でもいらっしゃいの楽しい催しがある。これがとても個性的で魅力あるものなのだ。
今年の秋祭りは、11月19日。

「お寺の境内や建物、自然を善意の活動に、あるいは地域へ開きます。とくに福祉、
教育、環境、文化(伝統)などにかかわる活動へ開きます。さらに寺の組織を開いて
いきます。寺の組織へ外からの参加を求めます。それによって寺院がより正しく社会
貢献出来るようにし、法人としての透明性を作ります。」    徳林寺HPより




 本堂の北にある「ハスタクティ」は、時として、小さなギャラリーとなり、ゆかりの作家達の作品展等が開かれたりする。
本堂ではネパールの踊りや、様々な楽器の演奏会等が披露されたりもする。
色々な国の様々な年齢の人たちが、立ち寄り 語りあい 文化を紹介しあい 祭りをしたり 会合場所として使用されたりと他ではちょっと無い程「開かれたお 寺」なのである。

境内の日当たりの良い草地に、フユノハナワラビが10センチ程の丈になっている。夏の間は枯れたようになっていて涼しくなってくると、いつの間にか新芽を 出している。冬になるとつぶつぶの粟をくっつけたような金茶色の胞子葉が出てきてそれが花のようなのでこの名がついたそうである。シダの仲間。
「食べられるかしら?」という質問に「ワラビではないので食べられないと思います。」と答えたが、後で調べたら、食べられると判明。おいしいかどうかは不 明。
薬効もあって下痢止めにもなるそうだ。

同じ草地にアメリカセンダングサがのびのびと枝を伸ばしている。見なれているのに名を知られていない植物。花びらをむしりとられた残りのような地味な花 だ。
これが冬になると先端に2つの棘のある扁平な種を持ち、いつのまにか衣服について結構痛いのである。
すぐ近くにコセンダングサもあった。こちらは湿地を好むとか。そのせいか池の近くのやや湿った所でやはり地味な黄色い花をつけていた。
アメリカセンダングサとの違いは、線香花火のような包が花の周りを囲むアメリカセンダングサに比べがコセンダングサの包は目立たない。葉は アメリカセンダングサの方は子葉が 細長い3枚が目立つ、コセンダングサは5枚が多い。くっつく実の棘は アメリカセンダングサ2本、コセンダングサ3本。




結局雨宿りするまでもなく、徳林寺の本堂前で11時半解散。
「気にもとめないでいた草や花の名前を知ることで急に親しみがわくものですね。」「歩こう会にはまって友達誘って来ました。」
嬉しい言葉もいただいて、色々な知識もいただいて お寺も使わせていただいて 感謝です。 合掌。


歩こう会 日記番外編
歩こう会の参加者Y.Tさんからグサギに付いて興味深いお手紙を頂きましたの で紹介 します。
「クサギの不思議」
「あるこう会日記」に「クサギのオシベとメシ ベが順に突き出して咲く」と書いてあり、その鋭い観察眼に驚嘆しました。
早速、花を見に行きました。「オシベとメシベが順に突き出す」は、花粉を虫が運ぶ虫媒花の特徴です。普段は意識せずに通り過ぎていた「クサギ」の花のその 仕組みを、もっとよく見たいと思ったのです。
なるほど、日記のように順に花が咲いていました。ル−ペで覗くと別世界が見えました。

左側〔咲きたての花〕→右側〔しぼむ前の花〕



左側…4個のオシベが「突き出し」、1個の若いメシベは
「下を向いて」います。
右側…4個のオシベが「しな垂れ」て、1個の成熟したメシベは
「突き出し」ています。
左側…オシベには花粉が沢山付いています。若いメシベの
先は爪楊枝のように尖っています。
右側…オシベの花粉は少なくなっています。成熟したメシベの先は2つに割れています。割れた内側(柱頭)で花粉を受取ります。

〔工夫した受粉〕
「突き出して咲く」のはオシベやメシベの先を虫にくっつき易くして、虫に花粉を付けたり受取ったりするためです。虫にオシベの花粉を付けて仲間の花へ運ん でもらい、運ばれた花粉をメシベが受け取り、花粉中の精細胞がメシベの子房にたどり着き、受精し、果実ができる。仮に、雌雄同時に成熟すると、メシベが自 花のオシベの花粉をもらって「自花受粉」し、生存率に悪影響を及ぼす可能性が増える。そこで、「近親交配」を避け「遺伝的多様性」を増すために、成熟期を ずらします。先ずオシベが成熟し、花粉が無くなる頃にメシベが成熟する。「自花受粉」を防ぐ工夫は色々とあるが、この方法はその一つで、虫媒花の特徴でも あります。
 逆に、多くの稲科の植物はメシベがオシベより先に成熟する。また、一日で花がしぼむオオイヌノフグリなどは、その日の受粉に関係なく、日暮れにはオシベ とメシベを強制的にくっつけて自花受粉します。などなど、種によって色々な工夫がなされています。……

〔日記より〕
花は白色なのだが、僅かに和菓子のオチョボのように真ん中に赤が見えるのはその下に続く長い花筒が更にその下に続くクランベリージュースのような赤いガク から、それをを吸い上げたかのように赤く染まっているためで、なんとも心憎い造形だ。……

さてここで私は考え込んでしまいました。
「真ん中に赤が見えるオチョボに小さな穴」があり、その下に続く長い花筒の中に、甘い蜜がたっぷりと蓄えられています。
この蜜を味合うことが出来る口を持った虫とは、いったい誰でしょうか?オシベもメシベも長く突き出しています。花粉も柱頭もそ
の一番先にあり、そこは小さな虫から見れば空中といえる程の所です。とても触れないでしょう。大きな虫なら、花に留まったとたんに細いオシベやメシベは折 れてしまうでしょう。
花粉や柱頭に触れて、蜜を吸える虫とは、どんな虫でしょうか?「ストロ−のような細長い口を持ち、長い足を持ち、軽く大きい」虫とは?

アゲハチョウが花に留まるのを見ました。チョウなら唯一「クサギ」の花粉を運べる!「クサギ」の蜜はチョウの為に有った!
このチョウが他の花に行かずに「クサギ」に行く可能性は高い。もしこのチョウが「クサギ」にしか行かないのなら、「クサ」が受粉する効率は更に高まる。な らば、もしこのチョウが減ったら「クサギ」の受粉も減り「クサギ」は減少するかもしれない? もし……

クサギの赤い実は鳥が良く食べ、種は糞に混じり、あちこちにばら蒔かれます。芽生えた若木は、葉を重ならないように付け、日光をいっぱい受け成長します。 このようなクサギは、他の植物に先駆けて、裸地に進出し急に大きくなります。
その「クサギ」にこんな生きる工夫があった。私は改めて「生」の素晴らしさを感じました。

自然に触れるとは、小さな感動を得るという事かな

Y.T

「童 心に帰って」
9月7日 薄曇り 参加者 18名

天気予報によるとしっかり傘マークで雨確実。参加者はいないだろうとトロトロ向かった相生口には、
すでに和気藹々とした人々の集まりが!
皆さん、天気予報をご存じない?と思いきや雨具の用意無しの人はゼロ。
そうですか!!雨が降っても歩く気ですね?性根を入れ替えて案内させていただきますとも。
というわけで皆の気合いにスイッチが入った事務局長もテンション高めの挨拶。
「歩こう会は『相生山の自然を守る会』主催であり、この会は相生山を縦断する道路に反対する者で結成された会であり、こうして歩いてみてやはり道路はいら ないと思ったら、意思表示をしていって欲しいのです。」
そう、私達は、環境に配慮した道路なんて曖昧で欺瞞に満ちたいいまわしに憤りを持ち、もう着工されていても、やはりあきらめきれないで、こんなに私達に豊 な贈り物を与え続けてくれるこの里山をどうしても見捨てることができない仲間達の集まり。

行政が決めたことを覆すなんて無理と多くの人が言った。要領が悪いかもしれない、戦い方を知らなさすぎるかもしれない。
勝ち目無しと言われようが自分達が正しいと思うことを自分達ができる方法で訴え続けてきたつもりだ。道路はじりじりと出来てきている。無力な自分達が、哀 しい。でも 私達はやはりこの道路は必要ないと思うからには、反対の意志表示はなんらかの形でしていきたい。

というわけで、怪しい雲模様を気にしながらも、生態系の頂点に位置するオオタカについての話からスタートとなる。
この歩こう会でも時々オオタカの飛ぶ姿が見られることがある。
オオタカが生息する自然とはどういうことなのかを注意深く撮られた写真(撮影場所は不明)を見ながら、説明を聞く。
営巣して、卵を産んでも何かに驚いたりすると放棄の危険性があるのでその期間中の写真は撮れないということで巣にオオタカがいる写真は無い。これは大切な ことだと思う。
人の好奇心、あるいは研究のためと言う名目でかなり自然界に迷惑な行為が行われているのが現実なのだから、
謙虚すぎるぐらいでなければと思う。
飛ぶオオタカ、カップルが仲良く並んで枝にいるカット、空の巣、補食の後、地面に落ちた割れた卵といった写真を見る。
オオタカ等猛禽類が生きて行くためには、餌になる生物が大量に生息していることが必要だ。
そんなわけでオオタカの存在は生態系が健全で豊かであることを示す指標の一つと言われている。
そのような動物が生息する環境は現状で保全すべきというのが先進国(いやな言葉だが)の常識と信じていたのだが、現実にはいとも簡単に都市化の進行の方が 優先されているようにみえる。
いつまでもオオタカがくる森であって欲しい。そしていつかこの森でオオタカが子育てをする姿が見られる日がきたらと思う。
何かの番組で聞いたこんなナレーションが蘇る。「今、人類は決断する時なのだ。でないと多くの生物が絶滅してしまう まもなく」

緑地側の沢筋に沿って少し歩くと道端にマメアサガオが、かわいい小さな花をつけている。
ロート状で上から見ると直径1.5センチぐらいの五角形の小さなアサガオだ。もう種をつけているものもある。
先月がピークだったクサギの花もまだ健在だ。8月の頃は雄しべが花から突き出てその下に雌しべが垂れ下がっていたのが、
今は雌しべが斜め上に突き出て、雄しべが下に垂れ下がって位置が逆転している。
花は白色なのだが、僅かに和菓子のオチョボのように真ん中に赤が見えるのはその下に続く長い花筒が更にその下に続くクランベリージュースのような赤いガク から、それをを吸い上げたかのように赤く染まっているためで、なんとも心憎い造形だ。



水 の流れは無いがユキノシタとミズヒキが湿った地を覆う沢を横切って緑地の南の斜面に向かって登る。湿気が多く蚊も多い。普段、人はほとんど通らない道なの で、いきなり大量のおいしい血がやってきて蚊達は大喜びしてくれた。しかしやたら蚊に好かれる人と、ほとんど蚊がよらない人とがいるが何故なんだろう?

上を見上げると赤い実が房のようについた木があった。赤い袋状の果皮が弾けて黒い艶のある実が1粒、2粒のぞいている。
赤と黒のコントラストが美しい。ゴンズイという名のミツバウツギ科の木だという。愛称ミッキーマウスとも呼ばれるそうだ。
「何故ミッキーマウス?」 「うーん種が似てるからかな?」「あっ僕のあだ名ミッキーマウスです。大好きなんで」なるほどそういう元青年の帽子には、マニ アを思わせるただものならぬ初期のミッキーマウスのピンブローチが輝いていた。
たしかゴンズイという魚がいたが、おいしい魚ではないらしい。あまり役にたたない木なので、その名がついたという説もあるようだ。春に花を見てみよう。




よもぎに似た草が地味な花をつけている。ブタクサだ。これこそが喘息をひきおこすといわれる犯人だ。
なぜか同じ帰化植物のセイタカアワダチソウが犯人扱いされているが、ぬれぎぬだそうだ。黄色い花がびっしり付く様子がいかにもアレルギーをおこしそうなイ メージではあるからだろう。
ブタクサは風で花粉を飛ばし、セイタカアワダチソウの花粉は虫が運ぶ。だから鼻がグシュグシュするのはブタクサの方。
「それは人の快適さを元にした身勝手な考えだね」と意見もあった。
虫の少ない草原に育つ花の多くは風媒花で風に運んでもらった方が、効率がいいからだということで、風媒花=花粉症の発想は楽しくないねと言う。なるほど彼 等だって子孫を残すために必死なのだ。最近はブタクサの故郷からブタクサを食料とする虫が海を渡ってきてブタクサ受難の時を迎えていると聞く。遅れてきた 追っ手といったところだ。
ブタクサのすぐ横にオンブバッタが一対。間伸びした、長い顔が大小揃った姿がユーモラスだ。上に乗ってる小さい方がオス。
オンブのイメージから親子づれだと思ってる人は多いと思われるがカップルである。

ガシャガシャと鳥の鳴き声。シジュウカラだそうだ。
黒いネクタイが特徴でツーピーツーピーと鳴くと覚えたのにガシャガシャとも鳴くとは鳴き声で野鳥を判別は難しい。
季節や状況でも変わるようだ。瞬時に分かる人には感心する。
ニイニイと甘えたような声はヤマガラ。何を甘えてる?

行 き止まりに出てちょっとハードな崖を降りることになった。大丈夫?(今さら聞いても降りるしか選択肢はないのだが)と御婦人方を振り返ると、皆口を真一文 字に結んで悲壮にうなづく。大丈夫じゃないと言われても、困るわけだからそれ以上追求せずに決行する。「必ず木の枝をつかみながら、足元に気をつけながら 降りて下さい」ズルッ!言ってる本人が滑っていては世話はない。

「おー今日はデンジャラスな体験もできた〜」「おーもしろかったわ」

降りた所は炭焼き小屋の裏、雨が続くと小川が出現して、高原のせせらぎのようになる。
「ここ毎回連れてきてよ。」崖下りは懲りてないようだ。夏の夜、ここで見る蛍は最高だ。

炭焼き小屋の傍らを通って桜並木の方に歩き白竜ヶ池に。ここは以前は池だったそうだが、今は枯れている。
名前は素敵なんだけど。

そのまま再び林の中を歩くとヤブハギが一本。ヌスビトハギと良く似ているが、茎がすっきり立って葉は茎の下の方にだけ付いている。花は淡い赤紫色。ヌスビ トハギのようにやたら枝をのばしてフォルムを乱していないのが格好がいい。



このあたりから蚊の攻撃が増してきて、ヒャーヒャーいいながら急ぎ足で林を後にする。
緑地の端で東海橋線と平行の小道(モーツァルトの小道と勝手に名付け)を通り、徳林寺に到着。
最後はカヤツリ草でカヤのつり方&シュロの葉でバッタの作り方講習会。
カヤツリ草の三角の茎を両端から(二人でやった方が良い)裂くとあら不思議!四角形が現れる。これをカヤに見立てた想像力。
バッタの方はうまくいくとそれは見事な、生きているかの様なバッタができる。ススキでもうまくいくそうだ。
難易度はバッタの方がはるかに上だ。結構難しいので、宿題ということに。バッタの作り方はこちら



崖を下ったり、蚊にさされたり、カヤをつったり、バッタをつくったり、ちょっと自然保護について考えてみたり、木や草の名前を教え合ったり。
そして、ついに最後まで雨には降られなかった。皆の心掛けが良かったからかな。
お疲れさま ありがとうございました。 また来月 第一木曜日10月4日に相生口で。

最後に、参加者の方から頂いたお手紙を紹介します。
「あるこ う会」に参加して、すごくビックリしたことがあります。
でも普通に生活していたら気が付かないことかも知れません。………
雨後の為でしょうか、雑木林に立ち止まって観察していると、いつもに増して沢山の蚊が襲ってきました。
林から抜けると、期せずして「今日は随分と蚊に刺された」と皆から異口同音。
 そこで、私はすごい事に気が付きました。誰も「蚊」を責めてはいないのです。「蚊」がいる雑木林は「人」には不快な環境ですが、めちゃくちゃ刺された人 は、にこにこ笑って防御が中途半端だったと反省されていました。この人達、なんなんだ………
 私は「どうしてなんだ」と、誰にも聞きたく無かった。自分で考えたかった。そして、ふと、私達は「蚊」の生活圏に侵入していたんだ、と気付いたら、全部 スッキリし急に見えて来ました。
こ の場合、人にとって快適な環境は「蚊」が居ないことですよね。「人」が快適になるとは、「蚊」を抹殺することですよね。だけど、「蚊」が居るとは、色々な 生物が生きていることの「裏付け」とも言えますよね。「あるこう会」の人が言われていた「生物多様性」とはこれなんだ、と実感しました。
色々な生物が生息する環境を、子供達にも伝えるのが私達の役目なんだと、解ったような気がしました。

相生山に道路ができる、と聞いています。道路ができれば「人の快適さ」はきっと良くなるでしょう。「人」は生態系の頂点に立っています。だから、なんでも 出来ます。不快な自然を道路や公園にすれば、人は快適になるのは明らかです。だけど「人」は、すごく強いのですから、少しは自然に「やさしさ」を持っても 良いと思います。少々不便でも我慢しようではありませんか。そしたら、「蚊」に刺される「雑木林=生物多様性」を明日の子供達に残せるかもしれません。

北海道の天売島で聞いた話です。鳥の「ウトウ」が棲息しているのは集落の反対側で、そこに行く道路が一本あるのですが、最近、この道を登って猫がウトウの 雛を食べに行くのだそうです。この道路が「ウトウ」の恐怖に変ってしまった、と地元の方が話されていました。相生山の道路が同じような生態系を狭める道路 にならないように祈ります。

楽しい一日をありがとうございました。



ひんやりした森の中に
8月3日 晴天 参加者 27名

やる気満々の真夏の太陽が朝から照りつける中、いくら何でもこの暑さでは参加者はごく僅か、もしかしてゼロかも
しれないと懸念しながら相生口に来てみると、暑さなんかものともしないこれまたやる気満々の参加者が
集まっていた。前回より多いようだ。こども3名の参加もあり、ああ夏休みだったと気が付く。

日差しが強いので早々に木陰を求めて竹林に入る。竹林の中にある木製の台を教壇に恒例のミニ学習会。
紙製のひまわりの葉の模型が登場で今日は夏休み緑陰教室風だ。上から見ると8枚の葉が角度を変えて重ならないようについている様子が
とても分かりやすい。8枚の葉は全て太陽の光を受けている。自分で動くことができない植物は与えられた環境でいかに光を得るかと
積極的工夫をしているのだ。茎の一番下にある大きい葉が「1」。その上に「2」があり、以下順に葉は「3〜8」と茎の上方になり、
そして葉は小さくなる。「1」と「2」は135度離れている。「3」以下も同様に葉は135度づつ離れ茎を回り「8」でスタ−ト地点に
戻りついに茎を3周する。「8」の次の葉は「1」の上に重なる。このように、8枚の葉は茎の周りを135度X8枚=1080度まわる。
円の一周は360度、これを3周すると1080度。想像を超える進化!
近くにあったクサギの低木も、下の葉の葉柄をのばして上の葉と重ならないように工夫をしていた。見逃していた素晴らしい生きる力。



続いて、松ぼっくりが皆に配られた。底(枝に付いている側)を見ると右巻きに5本、左巻きに8本のラインが見て取れる。
この5と8という数字は自然界にとても多い数で、「フィボナッチ数列」という法則に不思議に一致するのだとか。
芸術と自然と数学の融合ともいわれる「フィボナッチ数列」の話で脳のストレッチ。いつもと違って子ども達のまっすぐな瞳が向けられると
おじさん、おばさんちょっと張り切ってしまう。竹林を出ると足元にチヂミザサとササクサが並んであった。
どちらもイネ科で、緑地の中でもよく見かける。チヂミザサは名前と葉が縮んで波打っている姿が素直に一致しているので一度聞いたら忘れない。
ササクサの方は大きくなったら笹になるかと勘違いされそうなササによく似た葉の形をしているが全く別物である。
今は表土は乾いているが、森で一番低い水脈のあるあたりに、20センチ程の高さの茎に薄紫のヤブランの花を見つける。ランとつくがユリ科である。
秋に黒紫の艶のある実をつける。大きな特徴として一つの花に種が2〜4個できるそうだ。涼しげな花色だが茎がごついせいで繊細な雰囲気は無い。
近くにミズヒキが赤い上品な花をつけていた。「名前の由来分かる人〜」「はーい 上から見ると赤、下からだと白く見えるので、水引にたとえて。」
「さっすがー正解!」





左に水脈を見ながら、水脈に沿って稲田口の方に進む。谷側の立ち枯れの木にナツヅタが絡みつく様が何ともいい様子だ。
枯れ木に絡まる青々とした葉は、上に行く程小さくなっていき、あたりまえだが、どんなに小さくなっても完璧な葉の造形を備えて手抜き無しだ。
丸い吸盤でたくみに凹凸のある木肌にぴったりと沿って登っている。紅葉がまた本当に美しい葉である。一枚一枚が小さな絵画のような微妙な彩りに
染め上がるのだ。
朽ち木とナツヅタのオブジェは京都あたりのお寺の名庭にでも置いたら似合いそうな趣がある。「持って帰りたいぐらいね〜」
「かっこいいよねー」と取り囲ん で鑑賞していると、
黒い艶のある虫がせかせかと節から這い出て、「まずいっ!」と全身に危機感をみなぎらせて硬直した後、子どもの手からのがれようと猛然とダッシュ。
早い、早い。死にもの狂いの努力空しくあえなく捕われの身となり、掌上で再び固まる。「死んだまねしようか?」とでも考えているのか。
素早く図鑑で調べた人が「キマワリだね。」よく見るような、そうでないような容姿。知名度は低いと思われる名前。存在感の薄い虫だ。
キマワリにとって幸いなことに、捕獲者にとってカブト虫やクワガタム虫のような魅力はとうてい持ち合わせていなかったようで、あっさり解放された。



稲田口に出る手前は周囲を木々が囲んでやや開けた感じながら平坦ではなく、なだらかな曲線が交差した森の底のような、ちょっとしたコンサート会場にもなり そうなスポットである。通称「蛍のステージ」と私達が呼ぶ蛍鑑賞最高の場所である。しかしそこには、
貴重な水脈を横切り、あちこちに不粋な道路工事のためのロープが張られている。世界中で急速に温暖化が進んでいるという。そんな状況では自然破壊は最小限 にとどめるように国をあげて、いや世界中が取り組む時期ではないか。小さな森でもオアシスのように水分を抱え気温を下げ、空気を浄化する。
また,森の中での心地よい感覚や刺激が人間の心身を活性化させることはこうして森の中を少し歩いてみるだけで分かる。
夏休み、何も遠くに行かなくとも名古屋市内にこんな素敵な小さな森があるのだから是非家族で散策してみて欲しい。
そして温暖化について森の役割について親子で話あってみるのはいかがなものだろうか。いやただのんびり歩くだけで、森は色んな贈りものをしてくれるに違い ない。

ステージから展望台に向かう。結構な急坂で、緑の中といっても昼近いと暑さも感じるため、いつもより息が切れる。
展望台の手前の木陰でひと休み。クヌギの低木に虫エイのとびきりきれいなのを見つける。
皆が一息入れているとKさんが吹くハーモニカの調べが響いてきた。「ふるさと」のメロディーに心がなごむ。

展望台の周辺は高い木が無いので、明るいが、太陽が照りつける。シャシャンボの実が大きくなっていたがまだ緑色だ。
黒紫になると小粒のブルーベリーのようにおいしい。ボクトウガの鮮やかなオレンジ色の糞に驚き、カニクサやイヌザンショの名を教えあいながら、つどいの広 場を抜けて梅林から降りる所にヤマノイモが白い花をつけていた。初めて見る人も多く、意外な美しさに驚く。





オアシスの森を出ると11時半。待ち構えていた太陽が容赦ない。振り返るとさっきまで私達を包み込んでいた森はひんやりとした別世界として
そこにあった。
暑い中 歩こう会に参加して下さった皆様 本当にありがとうございました。

「歩こう会番外編 緑地で見つけ た不思議なもの 」
歩こう会の帰り道、葉書塔の北の坂道の低木にやけに見事などんぐり?
木の大きさの割に立派で、オアシスの森の中でも見たことが無い。
植物に詳しい人に聞いてみたら木の名前はコナラでドングリに見えたのは
虫えい(虫こぶ)。虫えいとは虫等から出される何らかの刺激で植物が変形したものでこれはナラメイガフシ。
まるでイガのように見えたのに!そして犯人の虫はナラメイガタマバチ。






木の名前・・・・・コナラ
虫えい(虫こぶ)の名前・・・・・ナラメイガフシ
虫の名前・・・・・ナラメイガタマバチ





木の名前・・・・・アベマキ
虫えい(虫こぶ)の名前・・・・・クヌギハマルタマフシ
虫の名前・・・・・クヌギハマルタマバチ






クヌギハマルタマフシを輪切りにしたもの

もう一つ同じ日に徳林寺の境内の木陰で見つけたきれいな小さいマーブルキャンディのような玉。アベマキの葉の上に
黄色やピンクのまんまるのがどうやってくっついているのか数個。ははーん?!これもさては虫こぶ?と察しはついた。
やはり虫えい(虫こぶ)でクヌギハマルタマフシ。虫はクヌギハマルタマバチとのこと。
これは幼少のころからの不思議の一つだったので長年の疑問が解けてすっきりした。

7月6日  「梅雨を彩る植物」 
晴れ 参加者22名
日射しはそんなに強くは無いのに湿気が多く、朝から蒸し暑い日であった が多数の参加者。
長袖、長ズボン、帽子、歩きやすい靴で歩く気満々に集まった人々で、相生口に熱気が溢れる。

まずは、散策が始まる前の勉強会。料理で言えばコースの前の前菜といったところか。
前菜は「葉の成長点について」三択のクイズ形式。取り出された一枚の木の葉は3本の白いテープが
等間隔に張り付けてある。問題は「さてこの葉が成長していくとテープの間隔はどう変化して
いくでしょう?」



1.付け根がのびる(テープは上の方が密)
2.葉先がのびる(テープは下の方が密になる)
3.同じに成長する(等間隔)
テレビのクイズ番組のように正解と思う列に並んでもらう。ほぼ同じ長さに別れた。正解は3。
次は牧草のような長い形の葉で同様の質問。この場合は1が正解。長い葉の場合動物に成長点を食べられることを防ぐため、
根元に成長点が集まるというのがその訳。自然はちゃんと生きるための計算をしているのだ。
クイズで少し賢くなったところへ「チョットコイ!チョットコイ!」とひょうきんなお誘い。
コジュケイだ。ウズラより少し大きくオレンジと褐色と灰色のきれいな配色の鳥で、
緑地の中を歩いていると、ひょっこり林から出てきて目前をトコトコ歩いて横切っていったりする。
たいてい複数である。おおらかというかのんびりとした警戒心の強くない性格に思える。
里山に生きる鳥達が身を隠すことができる小さな森も道が通れば、猫等が今までより中に入り込み易く
なり、鳥達の平穏な暮らしを脅かすことになるという。のんきなコジュケイが子連れで安心して逃げ込める
深さをこれから先、森が保っていくのは難しいことなのだろうか?
まずは葉書塔を目指して歩き出す。相生小学校前の坂道を下る途中の谷に
ママコノシリヌグイが小さなピンク色の花をつけている。
三角形の葉を持ち、茎には小さな下向きの刺があり、花の可憐さにうっかり手を出そうものなら痛い目
に会う。よく似たイシミカワは葉の裏の途中から柄が出ているので見分けられる。
それにしても悪意に満ちた名前だ。
名付けの時にそれはあまりにも……と止める人がいなかったのだろうか?谷にはヤブガラシも
はびこっていて花をつけていた。小さな花が集まって直径10cmほどの集合体で地味なのか、
派手なのか、わからない花である。薄緑色の花弁のまん中にオレンジ色の蜜をたたえた盤が
あり、その中にふちを囲むようにおしべが四本。まん中にろうそくの芯のようにめしべが立つ。
花弁が落ちてしまったものは、なぜかおしべまで落ちていて、よりろうそくのような形状になっている。
良く見ると結構個性的な造りではある。




角を曲がると空き地にエノコログサが緑の穂をつけ風に揺られている。
エノコログサ(エノコロ=犬ころ)かネコジャラシかいったいどちらだという話しになる。
犬か猫か?正解はどちらでもいいということだ。
西洋ではフォックステールつまり狐の尻尾というからどうも動物を連想させるイメージがあるのだろう。
坂道を上がっていくと、タチアオイの紫がかったピンクの花が鮮やかに自己主張している。
「おばあちゃんがタチアオイの花が上まで咲いたら、梅雨が明けると言ってた。」
「そうそう、聞いたことある。ほんとにそうだってね。」タチアオイの様子からいけば梅雨明けは近そうだ。
足下のハゼランがピンクの花と赤褐色の艶のある実で線香花火の様だ。
「あっ泰山木(タイサンボク)の花が咲いてる!」高台を歩いているので谷の木を見下ろせる。
通常は花が高い所につくため中々見ることができないタイサンボクの見事な花が、梅雨のうっとおしさを払うように
晴々と純白の花を見せてくれた。アメリカ原産とのことだが日本の風土に合っているようでのびのびと葉も花も幹もよく育っている。




木陰に梅雨の女王、アジサイが涼し気な青紫の花を輝かせている。並んで日本原産のガクアジサイも
競うように咲いている。アジサイは小さな花が集まって球状をつくっているが、小さな一つの花を見ると、
花びらのように見えるのが咢で、まん中の目立たない突起が花だそうだ。めしべが退化し実はできないという。
しかしガクアジサイの方はめしべがちゃんとあって種をつくる能力を持ち合わせているとのこと。
ガクアジサイかアジサイかどちらが好きか、どちらがきれいか、などとアジサイの前で失礼な会話を
しながら葉書塔に到着。葉書塔の由来は省略して記念撮影。人は集団で塔の前に来ると記念撮影を
したくなるものらしい。確かにネコジャラシやママコノシリヌグイの前では記念撮影を、とは思わなかった。
そのうえカメラを構える人は「ハイ、チーズ!」と言ってしまい、(そうしないと一向に静かにならないせいもある)
誰もVサインをしていないのは皆落ち着いた大人だから?



葉書塔の前に葉書塔に、ちなんで植林されたものだと思われる、タラヨウ(多羅葉)またの名をフミノキがある。
木枝で葉裏に文字を書くとくっきりと浮き出る。時間がたつとさらにはっきりしてくるようだ。
お経を書き写すのに使われたとのこと。
足下の梅雨の湿気でにわかにできたと思われるキノコの輪(菌輪)を踏みそうになる。
じめじめした暗い所に生えるキノコのイメージは今一つだが、西洋ではおとぎ話にはしばしば森の妖精の化身や、
小道具、舞台装置としてキノコが登場する。キノコの輪もフェアリー・リング(Fairy Ring=妖精の輪)と呼ばれている。
森そのものの明るさの違いだろうか?

さらに進むと巨大キノコ出現!直径15センチ程の肉厚のキノコ。
端の方がめくれあがってちょっと無気味だが迫力はある。悪役妖精の隠れ家?
キノコは毎日のように変化していくこともあって 図鑑の写真と照らし合わせても分かりにくい。
名前を調べるのはあきらめて妖精を楽しむことにした。
葉書塔から林の中に入るとハギがもう赤い花をちらほらつけていた。良く見ると2種類ある。
赤い花で軸が短いマルバハギとピンクと白のグラデーションの花のツクシハギ。
美人の姉がツクシハギ、可愛い妹のマルバハギといったところかな。




このアングルから写真を撮ろうとか、食べられるか、毒があるだろうかとか
わあわあ言いながらいい大人がキノコを取り囲み盛り上がる。
急にスポットがあたってキノコもビックリしたに違い無い。






小さな林の中でも、思ったより多くの色とりどりの形状の色々のキノコを見ることができた。
中には食用になるものもあるに違いないが見て楽しむことに徹するのが賢明だろう。
林を抜けて徳林寺の境内に入ると本堂正面の庭に可憐なネジバナがクルクルと茎をつたい上がった
かのような形の花をつけて、我々を迎えてくれた。
教訓 夏は飲み物も携帯して水分補給が必要。帽子とタオルも必需品。
暑い中皆さんお疲れ様でした。



6月1日 「ヒメボタルの森へ」
晴れ 参加者19名

相生山はこの季節だけは夜の方が賑やかである。シンボルともいえるヒメ ボタルが飛び交い
その神秘的な光景に魅せられた人々が多勢訪れるからである。
自然を守る会のメンバーにいたってはこの一ヶ月間は、時間が許す限り、毎晩のように深夜の森を彷徨っている。

と言う訳で、闇に親しんでいるせいか、昼間の光がやけにまぶしい。
今回から天白土木局が管理している相生口の駐車場が使用できることになった。
出発前の注意事項が終わるとカラスムギの穂が皆の前に差し出され驚きのパホーマンスが。(ややオーバー?!)
葉や茎と同じような、薄緑色の小穂の部分を水で湿らせ紙の上に置いてしばらくすると、よっこらしょと
細く伸びた穂先のひげがまるで意志を持った生き物の様に穂全体を支えて回転するのだ。
オオッ!!と皆身を乗り出す。
この機能を使ってカラスムギは生存にふさわしい穴に回転、着陸するというのだ。おそるべしカラスムギ。
このようなシンプルにして有効な能力を素っ気ない程の姿からはとても計ることはできない。

ヒヨドリにピィーヨ ピィーヨとせかされるようにやっと入り口を通過。

ホタルが出るスポットの様子を是非昼間に碓認しておきたいとうリクエストがあったので、まずは梅林へ。
梅林は一番最初にホタルが光り出す場所である。一番日当たりが良く地熱が上がりやすいからだという。
今年はいつもより梅林で長い間見る事ができた。梅の実はすでに地面に落ち始めている。
梅の木の下のハート形の三枚の葉に黄色い小さな花はカタバミ。シュウ酸を含む葉で十円玉をこするとピカピカになる。残念ながら貨幣価値はそのまま。
同じ形の葉でもう少し大きなピンク色のはムラサキカタバミ。白と紫のツートンカラーの花はニワゼキショウ。すっきりした花はどこか和風で浴衣美人といった ところか。すっかりほうけた綿毛をつけたチチコグサ。春の 七草採集の時ハハコグサとまちがえて採ったかもしれない。春先は地面に張り付いた形状で見分けがつきにくい。




次なるホタルスポット山根口を目指す途中、秋にカリカリの茶色の葉をつけていたヤマコウバシイがどうなったか探してみる。
あった、あった!すっかり様子が変わって生き生きした緑色の葉っぱに変身しているので見違えてしまいそうだ。爺さんが若返ったかのような不思議な感じ。
「確か春か夏に食べるとおいしいって教わったね。」おそるおそる食べてみると固いモロヘイヤといったとこか「雑穀に混ぜたとか聞いたよね?」
「雑穀に混ぜると雑穀のパサつきを葉のモチモチ感が補うんだよね。」「わりあいイケルね。」食に関することは記憶に残りやすいようだ。

口の中がモゴモゴするのでスイバをかじる。山根口の案内版の下あたりの草むらに赤い実がちらちらのぞく。ヘビイチゴの実だ。
「食べられないんだよね。」と誰かが言うと ヤブヘビイチゴなら食べられるという。表面のブツブツ出てる小さな突起が実で、これがザラザラしたのがヘビイ チゴ。ツルツルした感じがヤブヘビイチゴ。食べてみると特においしくはないがペッペッ!という程でもない。
ドクダミが真っ白な十字の花をつけている。と思ったら花は真ん中に立つ黄色い部分だそうだ。白いのは包。花びらもがくも無い。
匂いに癖があるが優れた薬効があるし、美しい。ドクダミの花が咲くと夏が近いと感じる。




山根の竹林の中に出るホタルは霞の中にいるようで本当にきれいだよとホタル情報を交わしながら、竹林を通り、
畑を抜け るとあでやかなポピーの花畑に出た。トンボ池にはヘラオモダカの白い花が咲いていた。オタマジャクシは旅立ったようだ。

展望台目指して山道を上がる。 ノイバラの愛らしい花も今が一番だ。
少しのんびりしすぎたようなので急にここから急ぎ足。それでもこれは何?の声でつい立ち止まってしまう。
「ウスノキかなあ?」葉が鋸葉では無かったので良く似ているけど「ナツハゼ」が正解とのこと。



ホタルスポット最後はホタルのステージ 言いたくないけど道路予定地。今年は例年と比べてここの出方が少ないようだ。
そこに降りる下り坂にさしかかると「ポッピリピィー 〜♪」と高らかにキビタキの声。
もともとは春になると南から山地に渡って来る鳥だが、このような里山にやって来るのは経験の浅い若者だろうか。
元気なさえずりを聞くと、思わず激励してしまう。
歩こう会でもここの所キビタキの美声に遭遇することが多いので、もしかして営巣していたら嬉しいなと思いつつ、
ここに道路が通ったらと思うと複雑である。ホタルも、この1年で4匹は命を落としているたぬきも、そしてこのキビタキをはじめとする野鳥も、
守ろうという意識を強く持たないとやがては私達の周囲から姿を消してしまうの日が来るのではないだろうか。

今日も馴染みのコースを歩いただけなのにいろんな新しい出会いや発見がある。
小さな森でも毎日違うドラマが繰り広げられているのだ。
森から出ると昼の太陽に夏の気配を感じた。

※ホタルに会い来る方々にお願いです。ホタル交信の妨げになるし、歩く側にとっても目が慣れにくくなるので、懐中電灯の使用はできるだけ自粛願います。近 隣の住居に迷惑にならないように車の駐車位置、話し声等ご注意ください。

5 月4日 「野草を食べてみよう」
参加者    晴れ

休日と重なったので、いつもと趣向を変えて散策の後で採集した野草を天 ぷらにして
食べてみようということになり各自自分が食べる野草は自分で採集することにして出発。

駐車場の隅にマツバウンランが頼りない程の細く高い葉茎に美しい唇形の青紫の花を穂状につけて
わずかな風にもそよいでいる。群生していると可憐で美しい。最近増えて来たように思う。
姿のわりに丈夫な草なのだろう。
竹林へ入ると、タケノコがつんつんと頭を出している。今が食べ時。いくらおいしそうでもこれは採るわけにはいかない。
上の方でキリリン、ピルピルと甲高い澄んだ鳴き声。キビタキだ。
お腹がオレンジ色で黒い羽に白い斑点のモダンな配色の鳥だ。残念ながら姿は見られなかったが、
声も姿も魅力的な鳥である。きれいなのはオスだそうである。
竹林を抜け明るくなったあたりに柔らかなやや白っぽい桃色のモチツツジが
満開だ。コバノミツバツツジより花の色が柔らかい。大きな特徴は花の元がネバネバしていることだ。
葉も二つに折るとそのままひっついている。
漆黒の羽をはためかせてクロアゲハがやってきた。
カラスアゲハか?クロアゲハか?と二つの名が飛び交ったが図鑑で確かめるとクロアゲハである。
ちらりと裾に見える朱色で間違いないということに。
この林では良くみかける。おなじみのコバノガマズミも早いものは白い花をつけている。




梅林に上りながらタカノツメの葉を摘む。新芽がおいしいのだが、もうすっかり大人の葉で、花をつけている木まである。
タカノツメもオアシスの森では良くみかける。なるべく一つの木に集中しないようにあちこち散って採るようにした。
ギュルギュルとムクドリの声。良く見かける鳥だ。足とくちばしは橙色を効かせて結構お洒落なのだ。

梅林のコナラの木の下の草地でカラスノエンドウ、タンポポ、ヨモギを採集。
カラスノエンドウは小さなエンドウ豆をつけていてこれも食べられそうと花と葉とともに袋に入れる。
カラスノエンドウのかたわらにスズメノエンドウも負けじと繁殖していた。
赤紫の花のカラスノエンドウよりも全体に小ぶりで花色も薄く白に近いうす紫。なんとその中間のカスマグサ(カラスとスズメの間)という
のもあるそうだが見分けはできなかった。相生山にあるかどうかは不明。

たんぽぽは日陰のひ弱そうな葉の方が柔らかくあくも少ない。花も摘んで食べてみることにした。
ヨモギはお茶にしたり餅につきこんだりするぐらいだから誰もが安心して食べられそうだ。
ふと低木に咲くに真っ白な上品な花が目に止まった。つぼみはなんとも愛らしいピンクの濃淡。
ズミの木だ。開花にともなって白くなっていくのでやや濃いピンクから白までの色のハーモ二ーが大層美しい。



時々クマバチに通せんぼされながらツツジの林を抜けて、少し開けた展望台の手前の木立の中でハーモ二カ伴奏付きで「相生山の緑の歌」を皆で歌う。
「今日も小鳥がないている〜♪枝から 枝へと渡って鳴くよ〜」緑の中で声を合わせて歌うのは気持ちがいいものだ。
歌の後、エビヅルの少しピンクかかったシルバーの新芽を摘む。秋に小さなぶどうに似た果実をつけ、これが結構おいしいとは聞いていたが新芽も食べられると は知らなかった。
展望台の下の乾いた日向に地を這うようにヒメハギが紫色の花をつけていた。日当たりを好むらしく森の中では見かけないようだ。
道路予定地の螢のステージに降り、時間が迫っていたので少し急ぎ足でアケビのツルの先やら、柿の葉、クサギの新芽、ユキノシタの葉を採りながら
徳林寺の中の風の子幼児園をめざす。この坂を上がれば相生口に出る木立の中ツクバネウツギがベージュがかったピンクのツクバネの形の咢の上に白く細長いふ くろ状のスマートな花をつけた魅力的な姿で見送ってくれた。





風の子幼児園では、待ち構えていた天ぷら隊が、3つの鍋でユキノシタ、柿の葉、アケビのツル、ヨモギ、タンポポの花、タカノツメの葉と次々と衣をつけて揚 げていく。
どれもおいしい!アクも気にならない。おにぎり片手に熱々の野趣溢れる野草の天ぷらを塩や酢みそで味わう。 ヨモギおいしいね! 柿の葉もおいしいよ
タンポポいけるねとにぎやかに声も弾む。カラスノエンドウの豆はやや固かったが料理の彩りにおもしろい。エビツル、タカノツメは癖がなくて色もきれいだ。
アケビのツルは天ぷらには華奢過ぎて味が分からないので、さっとゆがいて、ショウガ醤油なんかの方が向いているようだ。
クサギは茹でて酢みそで食べてみた。ピーナツのような香りがしてこれも意外な程おいしい。足もとあったドクダミも揚げてみたが揚げると臭みは無くなってい てなかなかいける。
NASA(アメリカ航空宇宙局)では食料難が来ることを想定して研究、調査をしているそうだが、「日本人はかなり最後まで生き残る可能性がある。野草が豊 富でそれを食べる文化と知恵があるから」という説があるという。(真意の程はわかりませんが)




考えてみれば化学肥料や農薬でミネラル不足になった土壌で育った軟弱野菜の何倍もの生命力を秘めた野草は生きた酵素.ビタミン.ミネラル.葉緑素の宝庫な のだからおいしいに決まってる。もっと積極的に野草を食べてみようと思う。

参加してくれた方々、植物や鳥や昆虫について教えて下さった方々、場を貸してくださった風の子保育園さん、天ぷらの用意、おにぎり作り、後片付けをしてく れた方々、次々と芽吹いて目で舌で楽しませてくれる木や草、すべての自然の恵みにありがとうの一日でした。

4月6日「相生山は春爛漫」
参加者 18名 晴れ

4月相生山も春真っ盛り。晴天に恵まれて出発。いつものように竹林から入り、橋の下のおなじみのヒメカンアオイが
ハート形の葉の下の湿った落葉を少しかきよけると紫褐色の地味な花をつけていた。
ナメクジや蟻等行動半径が狭いものによって授粉されるらしいので地域によって微妙に違いがあるとのこと。
2センチ程の3つの花弁の小さな花である。

竹林を抜け、やや日照の良い所にツルグミとヒイラギナンテンが仲良く寄り添っている。
ツルグミは、蔓に2センチ程のとげがあり下向きになった枝を木に引っ掛けながら上に蔓を伸ばしていくという。
忍者の七つ道具の一つにこんな仕組みの投げ縄があったような(忍者漫画の世界だけか?)
白いほっそりした意外に清楚な花をつけていたのはこの木だったと思い出す。
今は銀緑の小さな縦長の実が一つだけぶらさがっていた。
ヒイラギナンテンは黄色い花を房状につけて森の中で鮮やかに目立っている。
秋には赤く紅葉していたし、緑色のきれいな実もつけていたっけと四季折々変化をみせることに感心する。
一つ一つの花はころんとした丸い形で、細い枝等で雌しべに触れると周囲の雄しべがいっせいに
真ん中に寄って来る。虫が止まれば効率良く花粉がつくというわけだ。さんざん皆でつついてごめんよ。






梅林に上がる坂道の途中のアズキナシは、目にしみるような鮮やかな緑の新芽にも忘れず、
細かく折畳んだ自慢のプリーツを見せてくれて葉柄にちらりと
見える赤がこころにくいセンスだ。三宅一生だって脱帽するに違いない。

梅林に上がれば、カワラヒワのキリリ、キリリという 鳴き声。姿は見えなかったが雀より少し小さな鳥だそうだ。

梅の花はそろそろ終わりになっていたが、がっかりするのは早い。今日の目玉はツツジと桜だから。
梅林の端のしだれ桜は盛りを過ぎていたが、まだ花は残っている。江戸彼岸のしだれだろうとのこと。
早く枝がのびるので伸びた枝の重みで垂れ下がるとしだれになるそうだ。花のすぐ下の咢筒はぷっくりと球形でルーペで見ると細かい毛がはえている。
その横に小さめの白っぽい花をつけた桜も江戸彼岸。楚々として風情のある桜だ。

上空にオオタカが1羽旋回していた。レッドデータブックで絶滅危惧種と記されている鳥で、自然が豊であることを示す指標の一つとされている。
オオタカが飛ぶような自然豊な里山を分断することによって生態系にどんなダメージがあるのかを考えると暗澹たる思いである。

しだれ桜を後につどいの広場を奥に進むと足もとにマキノスミレが特徴のある細長い三角形の葉に青紫の花をつけていた。葉裏は赤紫。
小さいのに威厳あるスミレの姿をルーペで見ると自然の造形力に感服する。いいルーペが欲しくなる。

さらに進むと、突然コバノミツバツツジの透明感のある紫がかったピンク色の花々に包まれる。極楽だね〜と参加者の声。
このあいだまで単調で落ちついた緑の低木の林が華やかに彩られ、ため息が出る程のあでやかさだ。
1本の雌しべの周りに10本の雄しべ、やや遅れて咲くヤマツツジとの見分け方は葉裏のはっきりした編み目模様。
ヤマツツジも少しはあったが、まだつぼみがほとんどだ。ヤマツツジは花の色が朱色っぽく雄しべは5本。
モチツツジはコバノミツバツツジとヤマツツジの間位に咲くように思うが確かなことは分からない。
モチツツジの花柄に触れると粘着性がある。虫避けだと聞いた事があるが、そんなことで虫が避けられるとは思えないのだが。
相生山にはこの3種があると聞く。
ツツジの群落の端に花は少ないが風情あるヤマザクラがすっくと1本。白に近いうす紅色で葉の方が多いぐらいだ。若葉はやや赤っぽい。
散り際の潔さを讃えて歌に詠まれたのはヤマザクラと何かで読んだのを思い出す。





梅林に戻り畑でトウカイタンポポを見つける。最近よく見るタンポポは、セイヨウタンポポが多いのだが区別の仕方は、
花のうらの総包片が、反り返っているセイヨウタンポポに対し、トウカイタンポポは反っていない。

梅林からこの森でヒメボタルが最も輝く、通称「ヒメボタルのステージ」へ下ってゆく途中でも、コバノミツバツツジがピークを迎えていた。
春を迎えた草木の花々で夢見心地に降りてゆくと突如として道路建設予定地を示す印が何本も立ち並び一瞬にして、私たちの心は、
虚脱感に覆われてしまった。
名古屋市の緑被率が、激減していると報道されているが、ここも破壊されることになる。行政から緑を植えようとは、聞こえてくるが、
緑を残そうと言う声は聞こえてこない。本末転倒な話である。

道路予定の谷から畑にのぼり、春の日差しを浴び相生口でいったん解散。相生口では、ミツバチが盛んに活動を始めていた。
これからは、蜂に刺されないよう注意する必要がありそうだ。黒い帽子は危険である。

予定時刻より少し早いので、希望者をつのり、南の森のヤマザクラを見に行く。
ごちらのヤマザクラは、堂々としていて風格を感じる。
ヤマザクラのまわりは、アケビが薄紫のつぼみを付けていて間もなく花が咲きそうである。
数日後「アケビの花も薄紫の濃淡2色でお洒落な花をつけていましたよ。」と連絡をもらった。

ヤマザクラをあとに急な坂を降りたところに、鮮やかな紫色のショカッサイと深い紫色のムラサキケマンが群生していた。
複雑に花が組み合わさっていて、こちらの姿も自然の造形力に感服した。




桜並木でソメイヨシノを眺めながら花祭りが行われている徳林寺で解散。
花と、新緑に包まれた森の、華やかな一日でした。



3月2日 春を見つけに!
参加人数 22人  1匹 晴れ
青空がきれいな散歩日和。

さあ春を見つけに出発!
相生口から竹林側の入り口へ 雨の後で湿気を含んだ朽ち木にキクラゲ発見。
そう中華料理に使うあのキクラゲです。竹製の柵にもくっついているところを
みると特定の木に生えるものでもないのか?誰かが「海藻だと思っていた」
もしかしてクラゲの仲間と思っていました?

竹林を抜けるころにギフチョウのえさになるというヒメカンアオイが群生。
最近少し増えてきたようだ。(相生山にはギフチョウはいないとのこと)
木々はよく見ると小さな緑色の新芽をつけて春本番に向けて準備完了といったところだ。
葉がまだ出ていないので見上げると繊細な枝のシルエットが青い空を美しく分割している。
「この季節が一番好き」「私は新緑の頃がいいわ」それぞれに違う魅力を見せてくれるのが
雑木林の素敵なところだ。




雨の後なので、水脈のあたりは小さな流れができている。初めての参加者も5、6名いらしたので
ここに道路が通ることを説明。ヒメボタルをはじめ生態系に大きくダメージが予測されることや、オオタカが
営巣したこともある森だということ、1キロも無い道路に30数億もかかることを説明する。「それでは、借金だらけの
家計で高級車を買っちゃうみたいな無茶な話だね。」「年とったら道路より、自然な散歩道がありがたいんだけどねぇ」

梅林に上がると梅の花は蕾がほとんどで、ちらほらといっても一割に満たない開花である。
まっすぐ上にのびた枝の緑色が新鮮である。

見晴し台を目指すことにする。つどいの森に入ると「ツリリッツリリッ」可愛い声が上の方から聞こえてきた。
エナガだ。長いしっぽを上下させている。敏感な性格のエナガは、カラスの姿があると巣に入らないそうだ。
巣作りの頃なのか、うるさい人間どもに腹立ちのようだ。ごめんごめんと早々に退散。


   

何となく得した気分で、見晴し台まで来ると「オオタカだ!」の声があがる。
2羽のカラスに追われたオオタカが上空を舞うのに遭遇。
本日二つ目の幸運。
雪化粧をした御岳山が良く見渡せた。
三つ目の幸運。

ここからトンボ池に降りる。
何回も参加している方は、「あっアオハダだよね?」「カクレミノ!」と
おなじみの名が出て来るようになってきた。
カクレミノは幼木の頃は簑(みの)のように三つに分かれいるものがほとんどだが、
成長するにつれ、切り込みがない通常の葉の形のものが増えていくとのこと。
木の年齢を見る目安になるそうだ。

アオハダは葉も実も落ちて、寒々した様子で木肌がより緑がかってみえた。

トンボ池でもちょっと嬉しい事が。一昨年の春の七草のころ
オアシスの森にセリが無いので、緑地の湿地にあったセリを一株移植しておいたのが
増えていたのだ。トンボ池のわずかな水の中に青々と柔らかそうなセリが広がっている。
四つ目の幸運。
もうすぐカエルも産卵するかもしれない。水が干上がらないことを願いたいものだ。
トンボ池の脇のカラタチの木の実が、はぜて薄いオレンジ色の果肉をのぞかせていた。
なめてみると、酸味とわずかな甘みもあった。美味しくは無いが。
年配の方が「みかん畑の周辺に植えて、カラタチ越しに取れる位は(みかんを)取って行ってもいいよ、
としていたもんだ。とげが痛いから防犯にね。」おおらかな垣根ではないか。






山根口に向かう畑のかたわらにホトケノザがえんじ色の個性的な花を、
オオイヌノフグリは青い愛らしい花を、ハコベは白い清楚な花を、
ヒメオドリコソウは緑色から桃色のグラデーションのスカート姿を(花は桃色部分)、
と小さな野の草なりの美の饗宴。形の美しさは園芸種に負けないのだから。
山根口にさしかかると足もとに大豆ほどの小さな褐色の実が落ちている。
「サッカーボールだ!ヒノキの実でしたよね!」よく見ると、なるほどサッカーボールのような柄。
ヒノキの木はと見渡せば、ありました。葉うらを目をこらして見ると、白いYの文字。
何となく鶏の足を思い出すのだが。
(これは白色気孔帯といい W・・アスナロ X・・サワラ Y・・ヒノキ と形によって樹種を判断しているとのこと)






天気に恵まれていたので、幼児連れの若いお母さん達や、熟年夫婦で散策している人達など
相生山を楽しむ人々も多く、本当に市民にとって貴重な憩いの場所なんだと今更ながら
感じる。騒音もスモッグも、入り込まないで欲しい。

あっというまに2時間半経って、相生口で今日会った春の花の名を碓認しあって解散。
剪定のため切り落とされていた梅の枝をお土産に、四つの幸運に恵まれた初春の一日でした。

今回から、もしもの時のため保険をかけることになり参加者の方々から毎回一人100円づついただくことになりました。
会員は会費から出ますのでいりません。

2月2日 2006年最初の歩こう会
参加者12名+1匹

中日新聞に案内が掲載され、初めて参加された方が5名。
春を探そうということで、比較的山の外側を歩く。

出発前に少しお勉強。
スズカケノキ(プラタナス)、ユリノキ、カラコギカエデの種を観察。
どれも相生山にあるわけではないが、先回のどんぐりのお勉強に引き続き、
参加者の一人の方が用意してきてくださった。

植物は本当にいろいろな工夫をしている。つくづく感心する。

スズカケノキは大きな丸い実の中に
綿毛のついた種をいっぱい詰め、はじけ飛ぶ日を待っている。
ユリノキの種はゆりの花のような形をしていて、
ゆりの花びらのような種は風に吹かれヒラヒラ舞い落ちる。
カラコギカエデの種も同じように風に吹かれて飛んでいく。

自分の子孫を風に託すなんて、なんかかっこいいですね。




さあ、それでは今日も竹林から入ります。
昨日までの雨がうそのように晴れ渡った暖かい日、
竹林に一歩入ったらひんやり。しかもものすごくひんやり。
右手は光の加減かうっすらと霜が降りているように白い。
木道はさっきまで凍っていたとか。
それなのに、竹林を抜けると葉っぱを落としきったコナラたちのおかげで、
森の中なのにものすごく明るくなる。そして暖かい。
自然と上を見上げる。コナラの高いところにカラスの巣。
どこからか鳥のさえずりも聞こえる。
やっぱり森の中は気持ちいい。

と、後ろからものすごい歓声が近づいてくる。
園児だ。それもすごい数。30人くらいが歓声を上げて走りこんできた。
子どもたちは体いっぱいに喜びを表現している。
私たちをあっという間に追い越していった。

梅林に上がり、はこべやほとけのざの花をルーペで観賞する。
普段何気なく見ている花だけど、ルーペで見ると違う世界を覗くよう。

山根口に降りる途中、右手にある赤い実を付けた植物に注目。
千両?万両?答えは万両。
ちょっと調べたら、千両は葉の上の方に実をつけ、
万両は葉の下に実をつける、とあった。
お正月によく飾るのは千両だ。 

山根口から菅田に向かう竹林で、孟宗竹、破竹、真竹の見分け方。
節のラインが1本なのが孟宗竹、2本あるのが破竹、真竹。
そんな話をしていると、「ジュリジュリ」頭の上、はるか高くエナガのさえずりだ。
「ジュリジュリ、ジュリジュリ」
竹林を抜け、炭焼き小屋の脇、ユキノシタとヒメカンアオイがひっそりと春を待っていた。






菅田口を出て、今日は民家の中を歩く。
ピラカンサが見事にびっしり赤い実を付けていた。
ポコポコ膨らんでいる葉っぱがあるのはイスノキ。
葉の中に虫が棲んでいるのだそう。
ネズミモチはネズミの糞そっくりの実を付けていた。
ノボロギクが足元に地味に咲き、陽気とともに春を感じた。

道路現場を横目に稲田口へ。
初めて参加された方と道路の話で盛り上がる。
黄色いロープが道路の目印。
ヒメボタルはここが一番きれいなのに、ここを道路が横切るのです!
説明にもつい力が入ってしまいます。
ロープの中の木たちはみんな切り倒されてしまう。
そして急に明るくなって、周りの空気も一変する。
道路になったら車がびゅんびゅん走るんだよな。
どうなっちゃうんだろう・・・
ここを歩く時はいつもそんなことばかり考える。

相生口に戻ると時間は11時半。
また少し、道路の話が飛び交った。
次回3月2日は梅の花が咲いているだろうか、
鳥の勉強もしたいですね・・・そんな話をしながら解散。
次回もまた楽しみだ。

12 月1日 秋の終わりを感じながら
参加者10名とニ匹
小春日和の良い日となる。
相生口から竹林側に入る。すぐに目を引いたのがアオハダの黄色い葉と赤い実。
竹林が終わるあたりの沢筋の落葉の中にヒメカンアオイを見つける。
青々とした葉のまま冬越しをするようだ。
木漏れ日に黄色く色付いた葉が薄暗い森をステンドグラスのように美しく彩る。
光にあたるとひときわ輝く黄色の葉はタカノツメ。
春の新芽がおいしいということなので春になったら試してみたい。

黄葉は他には春には白い花をつけていたアズキナシ。鮮やかな橙色で周りを明るくしている。
葉だけみると前出のアオハダと比べると、アズキナシの葉は几帳面に側脈が葉の端まできっちり
通っている。アオハダは途中まで。葉の端のギザギザもアオハダの方があっさり低めの切り込みで
アズキナシはギザギザの中に更に二重にギザギザがある。重鋸歯というのだそうだ。(写真はアズキナシ)

 

木に絡み付くヤマノイモのハートを引き延ばしたような形の葉は黄色を通り越して黄土色になっている。
森の中心の沢筋で螢の生態調査について説明を聞く。フイルムケースのふたに小さな穴を開け、えさ(イカの刺身
とかタニシの切り身等)を入れ土中に埋めて幼虫を捕獲、調査してより詳しいデータを録ろうという試みである。
えさ一つとっても試行錯誤があるようだ。皆それぞれの思いでこの森を守ろうとしている。

梅畑に上がる途中でガマズミとコバノガマズミの赤と黄色のが混じった美しい紅葉に出会う。
ガマズミは葉の柄が1センチ以上もあるが柄が半分も無く、葉も小さめでほっそりしたのがコバノガマズミだ。

梅畑の日向にカタバミが黄色の花をまだつけていた。

山根口に向かう途中に茶色くカサカサに乾いた葉を付けたヤマコウバシの木。
葉が青い時期にすりつぶして雑穀と混ぜると雑穀の味が良くなるそうである。別名モチシバ。
ハゼノキが見事な紅葉と共にかんざしのような小さな実の集合体をじゃらじゃらとかざして目を引く。
実からろうがとれるそうだ。注意しないとウルシ程ではないが人によってはかぶれるとのこと。
同じ仲間のウルシは実の形が少し違い、毛が生えている。

 

山根口から上がった尾根にカナメモチの木が赤い実をびっしりつけていた。
「実は球形で先端に黒い咢が残る。葉は厚く、細かい鋸歯があり互生している。」
という図鑑の記述と一致する。ちょっとうれしい。
誰かが「でもね3歩も歩くと忘れるよね。」などと言う。確かにね。
「いいよいいよ忘れたってテスト無いし、立たされないし」と昔の子供達はへこたれない。
どんどん覚えてどんどん忘れて。でも少しづつ雑木達の顔が見分けられるようになっている気はする。


木々の間に透き通るような赤い小さな実を見つける。
ヒヨドリジョウゴ。他の実と比べて不思議な透明感がある。

  

トンボ池周辺でコナラやアベマキ等のどんぐりをわいわいと拾って
非常時の食料にと思いをめぐらせ(昔の子供達は無邪気なだけでは無いので)
12時ごろ相生口に。更にドングリの見分け方ミニ講習会もあり
少し賢くなった気がする晩秋の歩こう会であった。







11 月3日 秋晴れの歩こう会
今日のルートは相生口の右手、竹林から。
いつも感じることだけど、一歩森に足を踏み入れるだけで本当に別世界。うきうきする。
竹林から木道を渡り雑木林へ移り変わるちょうどその辺り、笹の先っちょに何やらきれいな虫がいた。
体はきれいな黄緑色。足は赤くて触角は赤と緑でしましまになっている。
素早く本を取り出し、これかな、これかなと探し出す。
「ハサミツノカメムシ」これだな、きっと。でもお尻にツノないけど・・・
いつもは「きれいな虫だな。」で終わりだけど、歩こう会だと違った喜びがある。
名前を探すとその虫に近くなったような気がする。友達を名前で呼ぶように虫や鳥、植物も名前で呼んだら
ぐっと親しくなれるのかも。
「なんか変わった蛾がいますよ。」
そんな声にまた集まる。梅林への階段をあがり始めた人たちも引き返して。
まるで枯葉。枯葉にしか見えない。でもその下にはオレンジ色で黒い斑点のついたもう一つの羽がある。
またまた素早く本が出てくる。めくってめくって、これだ!「アケビコノハ」
幼虫の時アケビを食べるのでアケビの害虫、と書いてある。それにしても素晴らしい擬態。
梅林へ上がる階段の途中、三枚に分かれた葉が特徴の「たかのつめ」という植物に注目。
春に芽吹く新芽は天ぷらにするとおいしいのだそう。覚えておこう。
梅林に出て「ふじばかま」を探す。秋の七草は春の七草より覚えにくい。

『萩の花 尾花 葛花 瞿麦の花 女郎花 また 藤袴 朝貌の花』 山上 憶良
(はぎのはな おばな くずはな なでしこのはな おみなえし また ふじばかま あさがおのはな)

結局「ふじばかま」がこの辺にあるそうだという情報だけでは見つけることは出来なかった。
展望台へ向かう途中どんぐりの木の見分け方講座が始まる。
葉っぱの真ん中からギザギザになっているのは「アラカシ」
全部ギザギザで小ぶりなのは「コナラ」
同じくギザギザで裏がじゅうたんのように白く細長なのは「アベマキ」
わかったと思っても自分で判断するのは難しい。
展望台に出ると足元に可憐な黄色い花。
「アキノキリンソウ」この花は日を好むのです。
そういえば山のてっぺんは明るい。

下山畑方面に向かって降りる。ヤマウルシやヤマハゼの紅葉がとってもきれい。
ソヨゴの葉っぱがきらきら光り、真っ赤な実がカワイイ。
足元に変わった形の実を発見。くちなしの実だ。食虫植物みたい。
ワイワイ言いながら進んで行くと左側に緑色の網の囲いが見えてくる。
道路工事現場。工事中の道路を横切り稲田口へ。
柿の木の手入れをしていた方から柿の差し入れを頂き、再び山へ入る。
大きく高く伸びた木々に張られたロープに憤る。
この森が削られることなく残っていくことをただただ願いながら相生口まで歩いた。

相生口に戻り、11時40分。
今日もまた相生山は楽しませてくれた。心からありがとう。








10月6日 木の実を探して
参加者 10名+1匹  
昨日とはうって変わって、爽やかな秋晴れに恵まれ、今日は初参加の方は2名
「野並に住んでいるのに相生山のことを知らなくて参加してみました。」とのこと
集合を待つ間に相生口周辺のネコジャラシことエノコロ草に注目。キンエノコロ、ムラサキエノコロ、
アキノエノコロ、エノコロと何種類もあるという。穂での見分け方を植物、鳥に詳しいT氏から
教わる。名前は花穂を子犬のしっぽに見立ててついたという。

相生口向かって左側の入り口から降りて少し歩き、人参畑に向かって上がる。
畑の脇のお茶の木に絡まるアオツヅラフジの濃紺の実を手のひらの上でつぶしたT氏は
「アンモナイトですよ。」と皆を驚かせる。なるほどその小さな種子はアンモナイト貝に
そっくりである。渦巻きに繊細な筋状の柄まで入っている。
次に注目されたのはお馴染みのツユクサである。
ここでツユクサのたくらみ!?が暴露される。
ツユクサは2枚の青紫の花びらを立てて、そのすぐ下から目立つ黄色のおしべが3つ
少し離れてその下にもおしべが1つ更にその下にやや地味におしべ2つというかなり
変わった形をしている。虫は一番目立つ鮮やかな黄色の上のおしべに引き寄せられるが実は、
これは見かけが派手なだけで花粉はほとんど無く、真ん中は半分は見せ掛けで、一番地味な
下のおしべに一番花粉があるとのこと。植物も花粉を食べられては困るので工夫をこらすわけだ。
みかけに弱いのは虫も人も同じ?と盛り上がる。畑ではセグロセキレイ、メジロの鳴き声を聞く。

畑を横切って薮の入り口で鮮やかなオレンジのカラスウリの実を発見。
なんとカラスウリの実の中にも黒い種に形を借りて大黒様が潜んでいた。
財布に入れておくとお金が貯まる?あやかりたいものである。

ノブドウも5色の美しい実をつけていた。節々に1、2センチのくるくると巻いた可愛いつるが出ている。
ガマズミが葉の上に差し出すように赤い実を付けている。薮の中に赤い実が見えるのはアオハダだろうか。
大きなアケビの実はまだ青い。
小さな白い椿のような可憐な茶の花になごみ、シジュウガラの声を聞き、薮の中を抜ける。
天白ゴルフ場の東側を上がる途中海を渡る蝶、アサギマダラに遭遇。今年初めて見た。
長い旅路に疲れたのか人間どもの歓声も気にせず目の前で羽を閉じた状態で長い間木の枝に止まってくれたので、
全員こころゆくまで鑑賞できた。
高台に出て工事中の道路を見下ろし思わずためいき。確実にコンクリートの壁は森の中を侵略しながら突き進んでいる。

金色の穂を揺らすすすきの間を抜け山の柿の渋を味わい、里に降りて来ると工事の音がかなり気になる。
近隣にお住まいの方々はどういう思いなのだろう。

稲田口からオアシスの森に戻り、螢のステージを通って相生口に戻る。
相生口ではセイタカアワダチソウの群生が開花寸前でつぼみが黄色く色付いてきている。
アレルギーを引き起こすと悪者扱いされているが誤解とのこと。薬効が多く、特に
開花寸前のつぼみに酵素がたっぷり含まれているそうだ。

アンモナイトや大黒様と種の造形まで意匠をこらしたり、小さな花に虫をあざむく小さな仕掛があったりと、
自然の奥深さに毎度のことながら感服しながらモズに見送られて11時40分頃解散。




2005年9月1日  緑地を歩いて

今回はオアシスの森では無く南に隣接する緑地を歩いた。
参加者は8名と1匹。
相生山緑地の名所?葉書塔を右手に見て雑木林の中でまずはツクバネウツギをとり囲む。
薄くアズキ色に色付いた鍔がなるほど見ようによっては羽子板でつく追い羽根にみえる。
ウツギとは茎が空洞ということだそうだ。枯れ木を切って確認。
相生山団地の向こうにほら貝,滝ノ水を見渡せる眺めのいい崖っぷちの道を進み
アカマツ、クロマツの見分け方など教わりながら行くと足もとにフタバムグラが
淡いピンクの小さな花をつけている。
葉の付き方に特徴があり対性といって2まいづつ向き合ってついている。
コシダの葉の付き方が進化の元の形とか、博識の方が参加されると散策もさらに充実する。
雑木林の中でコゲラがクヌギの木をつついているのを発見。
そこで,中日新聞の記者の方が追い付かれて取材を受ける。その後昔湿地だったなごりを求め
相生山病院跡へ降りてみるとガマが群生。徳林寺参道を上がり、徳林寺境内を抜け、「螢のトンネル」
と呼ばれる小道を抜け、今はまだ花ざかりで悪さをしないヌスビトハギに彩られた小道を行くと、
竹林の所に見事なオニヤンマが蜘蛛の巣に捕らえられているのに遭遇。
トンボの緑がかった青い大きな目が哀れ。おかげでしっかり真近で観察できたのだが。
しかし、ほとんどの大きな蜘蛛の巣には大きな黄色と黒の柄の蜘蛛と
それよりかなり小ぶりのやや地味な柄の蜘蛛が共存しているのは何故だろう。

   黄色に黒いしま模様が派手なジョロウグモ。
   その巣の傍らに重なるように巣を張っている小さくて地味な色のクモがいる。
   これは、グモといってジョロウグモが不要とする、小さな獲物を
   糧としているという。このコンビは緑地のいたるところで見られる。
   ジョロウグモが獲物相手に格闘中に手伝うでも無く、しかし無関心といったふうでも無く
   そう思って見るからか、ちょっといそいそと期待して待っているように見えておかしい。

アマドコロとナルコユリの違いは茎の断面が前者は六角形,後者は円形というのも今回納得。
緑地にあるのはアマドコロだった。
日当たりが良い場所に出るとタカサゴユリが清楚な花を付けていた。
緑地のあちこちで見られるこのユリも後一週間もすると消えていく。
真っ赤な曼珠沙華に主役を譲る少しの間は緑地に夏の気配の名残が漂う。


2005 年8月4日  相生山に涼を求めて
9時半にはすでにかなり気温が上がってきていた。参加予約していた
親子連れの方から「暑いので……やっぱりやめときます。」とお断りの電話。
今日は参加者は無いかもしれないと懸念しながら相生口に行ってみると
すでに待っている方が2名。程なく皆集まりだして総勢9名と1匹。
去年螢を見ただけで昼間の相生山は初めての方も。

ひとたび木立の中に踏み出すと、ひんやりと心地良い。
ギラギラした日差しも優しい木漏れ日となり汗も引く思いだ。
梅林に上がりコナラの下ではやくも最初の休憩。水分補給。夏の散策に水筒は
必需品だ。虫が木の葉を巻いて作るオトシブミがコナラの下に一つ。今朝のテレビ
で丁度紹介されたとか。葉巻きの様に器用に巻いてある。いったい小さな虫のどこに
このような能力が隠されているのだろうかと感心する。
ほとんどの人が初めて見たようだ。

山根口の方に向かうと左手の柵内にカラスウリの花が夕べの開花のなごりを残して
見頃は終えてもなんとなく風情のある様でレース織の花びらをもて余している。
咲いた時は、はさぞかし美しかったろう。今夜見に来ると決意していた人もいた。

水引きは紅白共に咲いていた。

トンボ池にはその名の通りトンボが10数匹飛び交い、クサギの花が薄いピンクの花をつけ、
山の栗は緑色のイガを実らせていた。ここで二度目の休憩。ここは風が通り抜けて涼しいポイントだ。
トンボ池から右に上がり再び山根口に戻り、再びコナラの横を通り
梅林を抜けて螢のステージに降り、道路予定地を右に見ながらヒノキの間を抜け、竹林側から
相生口に戻る。竹林では竹を伐採、チップにして通路に敷く作業をしていた。

カラスアゲハ、シジミチョウ、アオスジアゲハ、トンボ(名はわからず)、アブラゼミ、カブト虫(死骸)
アシナガ蜂、ジョロウグモ、トノサマバッタ、カナブン、カナヘビ、トカゲ

ヤマノイモの花、クサギの花、カラスウリの花、水引きの花、蛇のヒゲの花、ツユクサの花、ハナミョウガの花

以上いろいろな出会いのほんの一部。

暑い中の参加ありがとうございました。


2005年7月7日 七夕の歩こう会
七夕の歩く会は参加者18名 新聞に掲載されたため暑い日のわりに参加者多数でした。

竹林を抜けて梅林に上がる階段手前一番低くなっている地点で初めての方も多かったので
道路がどう通るかを簡単に説明。梅林のクヌギの木の下で休憩。
ドクダミ、よもぎ、シュロ、オオバコ、柿の葉等夏の薬草の話などしながら一口づつだけど
相生山で採れたものだけのブレンドの薬草茶も試飲。
展望台の方へ。植物に詳しい方がいて可愛い赤い実のような花をつけたウスの木、におわないイヌ山椒、など
教えてもらう。アオハダの緑の実が爽やか。龍のヒゲが小さな薄紫の花をつけていた。痩せた土のせいで花がこぶりで
庭の龍のヒゲの花より清楚だ。展望台でシャシャンボだヒサカキだと確認しあい、揚羽チョウになごみ
トンボ池に降りる。予想に反して水をたたえていたトンボ池の上をシオカラトンボがすいすいと飛んでいた。
水中にはミズスマシ?(誰も自信なし)らしき生物が動き回っていた。カラタチの実がゆずそっくりの大きさになっていた。
ここにも揚羽と黒揚羽が。ヒメヒオウギが鮮やかな朱色の花をつけていた。
ここから下山畑方面をめざして進む。日差しは強くなってきたがこの先は少しの間森から出て畑や人家の間の鋪装した道を歩く。
ほんの5分程だが暑かった。森の中は本当にひんやりしているのが実感できる。
無計画の為、実は思ってもいない道を通るはめになったがそれはそれで新たな発見があり、お洒落なリョウブの花も見る事が
できたし、「まるで京都ね!」と歓声が上がった暗い竹林も味わえた。ひんやりした竹にほほずりしたり。
目指した下山畑の道路工事現場にはタイムオーバーで行き着けなかったが、
帰り道に螢のステージに出ると
「こんなところに道路を通すなんて」「本当に必要か疑問ねぇ」との声。
最後に相生口で七夕ということで
短冊にこの森への願いを書いてもらい、用意した笹に飾り付け週末までは相生口で風になびいている予定である。
ゴミになる前には回収予定。



2005年4月7日 「ツツジとスミレとサクラを楽しもう」
小雨にもかかわらず参加者7名 中止かと迷うとこでしたが参加者の希望 もあり決行。
相生山の中にはツツジは3種類はあるそうです。3種位なら資料と照らし合わせ名前を調べてみようということで出発。
急に咲き出したサクラ、スミレにも皆歓声をあげながら山歩きを楽しみました。
しかし特筆すべきはやはりコバノミツバツツジの美しさで梅林から見晴し台の間のちょっと入り込んだ所に群生している所が
あります。3日前には、まだつぼみばかりでしたが、昨日の陽気で一気に開花して目が覚めるような鮮やかさ!天国のようだと一同感激でした。
ミカワツツジ、ニオイタチツボスミレ、 マキノスミレ、ヒガンザクラ等 ワラビも少し  
その後道路予定地に降りて不粋なロープを横目に螢のステージにさしかかるとホーホケキョ!!初心者とおぼしきうぐいすの鳴き声。
一同の顔も思わずほころんで聞き惚れました。サクラをもっと見たいとの希望で、緑地に足をのばしシャガ、シナレンギョウ、スズメノヤリなど楽しみながら終 わりに近付いてきた花まつりが開かれている徳林寺で解散。
参加者の中に植物にとても詳しい野鳥の会の方がいらして、もちろん野鳥にも詳しく今日の会をより充実させてくださり感謝しています。

追伸: 3月から4月の一ヶ月でたぬきが相生山周辺で少なくとも4匹死んでいるのが発見されています。
道路工事で巣穴が壊された等で山から出て来て車にでもはねられたのでしょうか?
施行ワーキングでロードキルについて書かれてありましたが、ただ書いてあっただけで特に対策はとっていないように感じます。
上っ面で環境に配慮してる風を装っているに過ぎないように思います。環境に配慮した道路と言うからには真剣に対策をたて
てみせるべきでしょう。


2005 年3月3日 「春を見つけよう」
参加者 14名
ホトケノザ(春の七草とは別のもの ),ヒメオドリコソウ、 オオイヌフグリ ナズナが
可愛い花をつけていました。たんぽぽが一つも見つからなかったのですが、翌日TVで
たんぽぽの開花が今年は2週間遅れていると言っていました。相生山の北海道と
呼ばれる人参畑を抜けて薮をかき分け、竹林を通って天白ゴルフ場の脇を上がって
高台に出ると下山畑から着工されている道路工事の様が良く見渡せました。
ごっそり削り取られた山肌はいままで覆われていた木々のかわりに無機質なコンク
リートの灰色が張り付いて寒々とした光景でした。


2005年2月3日 「鳥を探そう」
天気  晴れ
参加  20人
リーダー   野鳥の会の   Sさまご夫妻
見られた鳥
モズ  セグロセキレイ  ツグミ  ジョウビタキ  アオジ
オオタカ  カワラヒバ  ヒヨドリ  ルリビタキ  カケス
カシラダカ  ミヤマホホジロ  シジュウカラ  コゲラ
メジロ  シロハラ  ヤマガラ  ムクドリ  キジバト
ハシブトガラス  スズメ  トラツグミ
   
梅の花がちらほらと咲き始めました。
珍しい鳥にたくさん遭うことが出来ました。
最後に相生口に出る手前でトラツグミを見ることが出来ました。
かなり長い間目の前で餌さをついばんでいました。
野鳥の会の方達はこれはすごいと大感激でした。
トラツグミってそういう鳥なんですね。
カシラダカ、ミヤマホホジロ、は里山の所の畑でみました。


2004 年12月3日
晴れ お天気も良く、新聞にも載ったおかげで20人の参加者がありまし た。
初めての方が多かったので、オーソドックスなコースから緑地へ。
竹林→梅林→道路予定地(螢のステージ)→沢筋にそって→北海道(人参畑は入らないで)→
相生口の南→葉書塔→徳林寺 
「紅葉を楽しむ」コースでした。初心に戻って出発前とステージでは、しっかり道路反対の訴えを
したつもりです。
タカノツメやアオハダの黄葉、カマツカの少しえんじ色がかかった葉の色、ウルシ、桜の紅葉、
中でも緑地の沢筋のアズキナシのオレンジ色が
輝くように美しかったです。参加者には1月9日(日)七草がゆの会もおしらせしておきました。 

しかしあちこちで自然破壊は相変わらず行われていますね。
警告のような12月の異常な真夏日は不安です。
TVであったかくてラッキーなんて言ってる人がいましたが
少数の感想でありますように。